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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

成人年齢18歳へ引き下げ、親が子に伝えるべき「お金のトラブルに関する3つの注意点」

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

(2)ネットリテラシー・金融リテラシーを身につける

「リテラシー」とは使いこなす能力のこと。ネットユーザーは大量のネット情報をいつでも適切に瞬時に取捨選択する能力が求められる。

 また、契約とは何か? クレジットカードのメリットやデメリット、ローンの仕組み、消費者金融、多重債務、債務整理の方法、最近の悪質業者の手口とその特徴等々。成人(社会人)として経済的に自立し、安心かつ豊かな生活を送るためのスキルを身につけることは、欠かせない。

 消費者庁や文部科学省などでは2020年度までに、消費者教育教材を使った授業を全国の高校で行うなど消費者教育に注力していく方針だという。筆者が所属する日本FP協会でも、パーソナルファイナンス教育(金融経済教育)の知識を有する金融インストラクターを高校等に派遣し、出張授業を行っており、筆者も金融インストラクターの一員だ。

 ただし、学校教育で完璧に対応できるわけではない。現在、多少なりとも金銭教育を行っている高校や大学もあるが、それにもかかわらず、若年者の自己破産やカード・キャッシング等の多重債務者はゼロにならない。

 筆者も高校や大学で金融インストラクターとして授業を行っているが、自分でお金を稼いだり、税金や社会保険料を支払ったり、家計管理をしたりしたことのない生徒・学生は、これらの内容について興味・関心はあってもどこか他人事だ。

 高校生ともなれば、アルバイトを経験している子どももいる。まず自分自身でお金を稼ぐ大変さを経験させるのも良いだろう。そして、家庭でも親の家計(収入や支出)について伝えたり、子どもに関してどれくらい家計に負担があるのか、今後の進学費用がどれくらいかかるのかなど話し合ったりすることも必要ではないだろうか。

(3)消費者トラブルにあってしまった場合の対応策を知る

 どれだけ注意していても、トラブルにあってしまう可能性はある。となると重要なのは、消費者被害にあった場合の対応策を知っておくことだ。

 消費者庁の「平成29年版消費者白書」によると、トラブルにあったとき誰に頼るかという問いに対して、誰にも頼らないと回答した割合が15~19歳では15.5%、20~24歳では22.2%となっている。

 親はもちろん、全国の消費生活センター等の相談窓口に相談することや、特定の契約を除き契約締結後の一定期間(8~20日間)であれば、その契約を自由に解消できる「クーリングオフ」制度があることも理解しておきたい。

 このように、今回の改正についてはデメリットや問題点ばかりが指摘されるが、若年者が親の同意なく自らさまざまな取引ができるようになれば、若い内から経済活動を促進したり、働いて得たお金を自らの判断で自由に使ったりできるというメリットもある。肝心なのは、それを判断するための情報やスキルをきちんと備えること。判断に迷ったら適切な相談窓口で相談することではないだろうか?

 子どもばかりではなく、親自身のネットリテラシー・金融リテラシーも決して十分とはいえない。この機会に、家族全員が生きていくための情報と知恵を備えるようにしていただきたい。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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