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『義母と娘のブルース』視聴率上昇続伸で社会的ブーム…「子はいつか親を超える」現実を描ききる

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 綾瀬はるか主演の連続テレビドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)の第8話が4日に放送された。アジア大会の影響で2週間ぶりの放送となったものの、平均視聴率は前回から0.4ポイント増の15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と4話連続で自己最高を更新した。今期の民放連続ドラマ視聴率トップの座もガッチリ維持している。インターネット上では、ヒットの理由を分析する記事があふれるなど、社会的ブームの様相を呈している。

 このドラマは、バリバリのキャリアウーマンだった岩木亜希子(綾瀬)が子持ちのサラリーマン・宮本良一(竹野内豊)と結婚し、良一の娘・みゆき(横溝菜帆/上白石萌歌)の母として奮闘する物語。もともと余命わずかだった良一は第6話で天に召され、その後は亜希子と高校生に育ったみゆきを中心に物語が展開されている。

 みゆきに労働の尊さを伝えるために「ベーカリー麦田」で働き始めた亜希子。キャリアウーマンとしての経験を生かして店の売り上げを順調に伸ばすが、ほどなくして客足が再び遠のいてしまう。そもそもパン自体に改良の余地があると考えた亜希子は、いったん閉店してリニューアルすることを店主の麦田章(佐藤健)に提案する。リサーチの結果、先代店主(宇梶剛)の時代には、地域住民から支持されていたことを知った亜希子は「先代の味の復活」こそ復活のカギであるとの結論に至る。そして、山梨で隠居していた先代に頭を下げ、麦田にパンづくりの特訓を受けてもらうことにした――という展開だった。

 率直に言って、この第8話の内容には賛否両論あったと思う。ネット上では、「パン屋再生ストーリーが長い」「パン屋の話が見たいわけじゃない」という声が見られた。実際には、亜希子がパン屋を再生させる展開になってからまだ2話目なのだが、確かに筆者も途中で「パン屋の話長いな」と感じた。おそらく、主だった登場人物が非常に限られており、相対的に主役の綾瀬はるかが画面に映る時間が長く、密度的にも濃いためにそう感じたのだと思う。このドラマが好調な要因のひとつに、「登場人物が少ないので、途中の回から見てもわかりやすい」ことがあったのは間違いないが、今回はそれが裏目に出た格好だ。

 とはいえ、「義母と娘」つまり亜希子とみゆきを描く本作において、「パン屋再生ストーリー」がまるっきり浮いているかといえば、決してそうではない。むしろ、母娘の関係性やみゆきの成長を描く重要な要素として物語の中に組み込まれている。

 たとえば、亜希子が当初提案した「原点回帰」作戦が的外れだったことは興味深い。亜希子はもともと完璧な人間として描写されておらず、これまでにも失敗をする場面はあった。だが、見事にパン屋を再生させ、働くかっこいい母の姿をみゆきに見せてやろう、とする大事な局面で亜希子が作戦を間違えたとなると、ストーリー上何らかの意味があると考えるのが普通だ。

 その一方で、やりたいことが見つからなかったみゆきは商売に強い興味を示し始め、何度も足を運びたくなるパン屋のアイディアを生み出した。このアイディアは紙芝居形式で麦田にプレゼンされ、さっそく採用されることとなった。母と娘を対比するようなこの展開は、商売において向かうところ敵なしだった亜希子に陰りが見え、それと入れ替わるかのようにみゆきがビジネスの才能に開眼し始めたことを描写するものだったのかもしれない。つまり、第8話は「子どもはいつか親を超える」という、少し悲しいけれど親にとっては大いに喜ばしい人生の現実を描いた回だったのではないだろうか。

 もちろんこの解釈が間違っている可能性もあるが、決して重くなく、むしろ笑って見られるストーリーの中に、視聴者がそれぞれ想像を膨らませて自らの人生と照らし合わせるような要素が詰まっていることこそが、『ぎぼむす』好調の理由なのかもしれない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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