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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

ライザップ、英会話や料理教室まで進出の裏に学術的経営理論

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ライザップ(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 フィリピンの大学で講義をすることになり、何かインパクトがあり、かつ言葉がわからなくても伝わるものをという依頼だったので、ライザップのテレビCMを紹介することにした。しかしながら、単なるCM紹介では芸がないので、ライザップについて調べてみたところ、興味深いポイントが見つかったので、以下に考察していく。

ライザップCMの真の魅力

 あの癖になる音楽、あのポーズ(それを芸能人だけではなく、一般の人もやってしまう)は、極めて印象的で、日曜日のお昼に放送される『NHKのど自慢』でノリノリに歌っている人と若干被ると個人的には感じる。もちろん、こうしたCMの演出は大したものだと思うが、2カ月であそこまで体形を変化させるライザップのサービス内容が、視聴者に大きなインパクトを与えていることは間違いない。

 CMなどのプロモーションにおいて、キャッチコピーや起用するタレントなどが話題になりがちだが、商品やサービス自体に魅力がなければ話にならない。逆を言えば、素晴らしい商品やサービスなら、視聴者に大きなインパクトを与えるプロモーションが自然に生まれてくるはずだ。

ライザップの多角化

『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』(大﨑孝徳/日本実業出版社)
 みなさんはライザップの多角化、つまりライザップの新規事業について、何かよいアイデアをお持ちだろうか。

 実際にライザップが行っている新規事業を見ると、まず飲料メーカーのキリンとのコラボによる「キリン ライザップ プロテインボトル」というプロテイン飲料が挙げられる。“飲むライザップ”というキャッチコピーが付与されており、その抜群の知名度により、多くの人がスポーツの際に飲んでみたいと思うのではないだろうか。こうした新規事業は、比較的わかりやすい事例といえるだろう。

 その他の新規事業としては、ゴルフや英会話といったものもある。なぜ、ライザップが英会話なのだろうか。なんの関係もないように思えるかもしれないが、ポイントは誰もが知るライザップのコンセプト「結果にコミットする」にある。ライザップの強みは、狭くとらえると「短期間で体形を劇的に変化させる」ということだが、より広くとらえると「マンツーマンによるトレーニングの提供」にある。こうした自社の強みに着目し、英会話、さらには最近では料理教室にも進出しているようだ。自社の強みをより大きな視点でとらえ直し、新規事業に着手するという手法は大変興味深い。

経営戦略:2つの考え方

 新規事業を始め、自社の事業を検討する際に参考となる研究として、「ポーターvs.バーニー論争」は有名である。米ハーバード大学教授のマイケル・ポーターは顧客や競合や仕入れ先といった自社を取り巻く環境を考慮する重要性を説き、RBV(リソース・ベースド・ビュー)の代表的な研究者であるジェイ・バーニーは「自社の経営資源の分析および活用こそが重要である」と主張した。

 今回取り上げたライザップの新規事業は、バーニーの主張に沿うものであるといえるだろう。逆に、ポーターの考え方からすれば、英会話や料理教室などは、すでに競合者が多く存在し、飽和した魅力のない市場ということになるだろう。

 ポーターvs.バーニーに関して、みなさんはどのように思われるだろうか。もちろん、ともに重要なことではあるが、すでに多くの市場が飽和状態にある日本においては、バーニー的発想のほうが、実務においてより有効に機能するのではないかと筆者は感じている。
(文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer)

『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』


プレミアム商品やサービスを誰よりも知り尽くす気鋭のマーケティング研究者が、「マーケティング=高く売ること」という持論に基づき、高く売るための原理原則としてのマーケティングの基礎理論、その応用法、さらにはその裏を行く方法論を明快に整理して、かつ豊富な事例を交えて解説します。

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