開始予定の携帯5G化、電波が人体に悪影響との指摘…頭痛や記憶障害、料金負担は割高に


 5Gサービスを提供する大手電気通信事業者のベライゾンと手を組んだサクラメント市もまったく気にしていないようで、次のような声明を発表した。

「サクラメント市はリーダーそしてイノベーターであり続け、5Gを国内で最初に商業的に実施・活用することになるでしょう。これは、これまではお金のかかる光ファイバーによってのみ可能であったギガビット速度を住民に体験できるようにするイノベーションです。5Gのようなテクノロジーは人々の日々の生活に革命をもたらすことでしょう。市は、経済的な活力を駆り立て、情報格差を減らし、多様なコミュニティーに貢献し、市の使命を果たす技術を遂行するために重要な役割を担い、発展プロセスの合理化に積極的に取り組み、ベライゾンのようなイノベーターたちに効果的・効率的に道を開きます。現在、市は6カ所の5Gサイトを稼働させています。市は無線機器を規制することはありません」

消費者負担さらに重く

 ベライゾンに限らず、大手電話会社のAT&Tも5Gを導入する予定であり、その技術に満足していると語っている。それもそのはず。事業者にとってはその先につなげることのほうが重要である。カリフォルニア州で5G導入法案「SB 649」が可決されれば、通信事業者には相場以下で助成金が支給され、利幅30~40%で5800億ドル以上を稼がせることになると見込まれている。

 総合コンサルタント会社のアクセンチュアの試算では、5Gネットワークの構築に通信事業者は最初の7年間で2750億ドルの投資が必要だとしており、利用者の負担も過去最高となることが見込まれている。つまり、事業者は簡単に資金を得られる一方、市は財政を圧迫させ、消費者も割高な出費を強いられる可能性がある。

 アメリカでは、光ファイバーの普及が進む日本の状況とは異なり、インターネットの利用にケーブル回線が利用される傾向にある。そのため、大容量データを超高速伝送可能な回線を整備する必要性は常に課題となっていた。広大な国土を有するアメリカにおいて、光ファイバー網の整備にも莫大な費用がかかる。そんな事情に付け入って、近年、5Gネットワークの構築が急浮上してきたといえるのかもしれない。

 難しい選択を迫られるアメリカだが、カリフォルニア州内で215の都市が法案SB 649に反対している。サンタローザを含むいくつかの市では、健康への懸念が処理される間、5Gの導入計画を保留するとしている。また、東部メリーランド州モンゴメリー郡でも多くの人々が議会で5Gの導入に反対を表明するに至っている。

 このように、アメリカ、特にカリフォルニア州では5G導入をめぐって大きく揺れ動いており、遅ればせながら光ファイバーの整備を望む声も高まっているのが現実である。だが、いったい日本で5G導入を急ぐ人々は、そんな騒動を把握しているのだろうか。

 ベライゾンはサクラメント市においてミリメートル波を用いている。日本でも同様の周波数帯が利用される予定であるが、周波数はいくらか異なればヒトへの影響度も変化する可能性がないわけではない。周波数を慎重に選ぶことで懸念が払しょくされる可能性もあれば、わずかな周波数の違い程度ではまったく改善されない可能性もあるだろう。サクラメントの消防士の事例を生かし、その点は十分に検証・改善される必要がある。

 また、カリフォルニア州同様に、日本でも5Gアンテナの設置に莫大な費用を要すると予想される。その費用はどの程度消費者の利用料に反映されるのか? そして、そもそもこの時期に投資する意義があるのか? ニーズがあるのかどうか疑わしい日本においては、これらの点について明確に説明される必要があるだろう。

 そして、筆者にはもうひとつ気掛かりなことがある。それは、「日本の技術力が東京オリンピックに間に合わせて5G導入を実現させた」という成功ストーリーを事業者らがイメージしている可能性である。もしそんなことがあれば、問題は健康リスクに対する認識だけではなく、もっと根深いところにあるということになるだろう。
(文=水守啓/サイエンスライター)

【水守 啓(ケイ・ミズモリ)】
「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、代替科学研究家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。
著書に『世界を変えてしまうマッドサイエンティストたちの【すごい発見】』『ついに反重力の謎が解けた!』、『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の謎/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、『リバース・スピーチ』(学研パブリッシング)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』(明窓出版)などがある。
ホームページ: http://www.keimizumori.com/

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