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ドンキホーテとバブル崩壊後の日本経済30年史…約30年連続増収増益の秘密と意味

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授

今後の利益率向上への期待

 
 19年6月期の連結決算にて、ドンキホーテは売上高が1兆円に達すると予想している。現状の成長の勢い=モメンタムが維持されれば、それは可能だろう。売上高1兆円規模の小売業にはユニクロを運営するファーストリテイリング、イオン、セブン&アイ・ホールディングスなどがある。

 今後、ドンキホーテに期待したいのは、さらなる規模の拡大よりも、利益率の維持・向上を実現しつつ成長していくことだ。同社のROE(自己資本利益率)は13%超に達している。この水準は、セブン&アイやイオンの水準を上回っている。TOPIX採用企業の平均的なROEは9%程度だ。利益率の点で、ドンキホーテはわが国を代表する優良企業といえる。

 ドンキホーテには、低価格戦略の強化と独自の商品開発などによる消費者満足度の向上を期待したい。“驚安の殿堂”のキャッチコピーにある通り、ドンキホーテの強みは低価格で消費者の欲しいものを提供することにある。加えて、店づくりも同社の成長を支えてきた重要な要素だ。それを伸ばすためには、商品開発や店舗運営への新しい発想の導入など、内部の経営資源の活用をベースに成長を目指すことが考えられる。

 また、ドンキホーテがさらなる成長を追求するためには、買収戦略の重要性も増すだろう。この点に関しては、慎重な判断が必要だ。理由は足許、世界的に株価が高値圏にあるからだ。それに加え、中国経済の減速懸念も高まっている。そのなかで買収を行うことは、のちのちの財務リスクを高める恐れがある。ドンキホーテがそのリスクを冒す必要はないだろう。

 足許、ドンキホーテは米ウォルマート傘下の西友の買収に関心を示している。西友の立地条件を考えれば、確かに魅力的な案件ではある。ただし、買収の名乗りを上げる企業が増え、買収価格が吊り上げられた場合には、潔く手を引く勇気も必要だ。

 むしろ、ドンキホーテには、同社流の小売業再生を求めて提携などを求める企業が増える状況を目指してもらいたい。それは、より有利な条件で買収を行うことにもつながるだろう。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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