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スルガ銀行、狂った経営が白日の下に…恫喝営業、創業家ファミリー企業に巨額融資

文=編集部
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不動産事業が主力のファミリー企業

 他方、創業者一族の関係会社への巨額融資疑惑が浮上したが、この件について第三者委の調査報告書は触れていない。

 スルガ銀行は1895年、岡野会長の曽祖父にあたる岡野喜太郎氏が創業。100年以上にわたり岡野家出身者がトップを務めてきた。スルガ銀行の子会社とは別に、岡野家の関連企業(ファミリー企業)は20社以上あり、スルガ銀行はこのうち10社と融資・取引関係がある。

 ファミリー企業への融資は、一時は1200億円を超えていた。金融庁の検査で、「取引の適正化」を指摘され、融資残高を減らしてきた。それでも2018年3月末時点で融資残高は500億円弱に上る。スルガ銀行の融資残高(約3.2兆円)の1.56%に当たる。

 ファミリー企業はスルガ銀行の株式を持つ。有価証券報告書によると、18年3月末時点の大株主上位10社のうち4社がファミリー企業で、4社合計で15.46%の株式を保有している。

【スルガ銀行の大株主のファミリー企業】(2018年3月末時点)
※以下、株主名:持ち株数(単位、千株)、持ち株比率

エス・ジー・インベストメント(株):12,702、5.48%
スルガ総合保険(株):10,999、4.74%
・エス・ジー・アセット(株):6,750、2.91%
・一般財団法人スルガ奨学財団:5,401、2.33%

 ファミリー企業の中核は、筆頭株主のエス・ジー・インベストメントと第7位株主のエス・ジー・アセットだ。両社は東京都中央区日本橋室町に本社を置き、社長はいずれも岡野3兄弟の末弟、岡野喜平太氏。

 長男がスルガ銀行会長だった光喜氏、次男が副社長を務めた故喜之助氏。喜平太氏はスルガ銀行の役員ではないが、ファミリー企業の中核企業を率いる。

 エス・ジー・インベストメントは貸ビルを経営する不動産賃貸会社。一方、エス・ジー・アセットはデベロッパーだ。愛鷹山山麓の静岡県駿東郡長泉町スルガ平で、花、美術館、食をコンセプトにした複合文化施設「クレマチスの丘」をはじめ、スポーツ施設などを運営している。

 光喜氏ら3兄弟の父は、スルガ銀行第3代頭取の喜一郎氏。喜一郎氏は稀代のコレクターとして、美術界に大きな足跡を残した。戦後、彗星のごとく登場したフランスの天才画家ベルナール・ビュフェに魅せられた喜一郎氏は、私財をなげうってビュフェの作品を一点一点買い集めた。1973年、世界初のビュフェ美術館をクレマチスの丘に建設した。スルガ平では大規模な宅地分譲を行っている。

 クレマチスの丘は岡野家の、いわば“聖地”だ。

 第2位株主のスルガ総合保険は沼津市に本社があり、社長は平井克弘氏。8位株主のスルガ奨学財団はスルガ銀本店内にあり、代表は岡野光喜氏。同財団は1963年、スルガ銀行創業者、岡野喜太郎氏の生誕100年を記念し、スルガ銀行からの寄付金を基金として設立された。スルガ銀行からの配当金を原資に返済義務のない奨学金を給付している。この奨学金制度を利用した卒業生は17年3月末で5459人いる。

 岡野光喜氏の引責辞任によって、スルガ銀行の取締役に創業家出身者は1人もいなくなった。それでも、株式の保有(大株主として)や融資を通じてスルガ銀行とファミリー企業は分かちがたく結びついている。不正をもたらした岡野家中心の企業文化を変えるのは、容易なことではない。
(文=編集部)

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