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『高嶺の花』最終回で過去回の伏線や謎をまったく回収せず強制終了…野島伸司の開き直り

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 石原さとみ主演の連続テレビドラマ『高嶺の花』(日本テレビ系)の最終回が12日に放送され、平均視聴率は自己最高の11.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。野島伸司氏が脚本を手がける同ドラマは、華道の名門・月島家に生まれ、圧倒的な才能と美貌を兼ね備えた月島もも(石原)と、お金も地位もない自転車店主・風間直人(峯田和伸)が繰り広げる愛憎劇だ。

 最終回は、焦点となっていた「ももと直人は結ばれるのか」、そして「ももは月島流の家元を継ぐのか」という2つの問題を最後であっさり解決。ももと直人は結ばれたが、ももが月島流を継ぐことはなく、独自の流派を開いて華道を続けた――というハッピーエンドで全10話のドラマに幕を下ろした。

 ここだけ聞けば、何やらすべてが丸く収まってめでたしめでたし、と思うかもしれない。だが、実際はいちいちツッコミを入れるのも飽きるくらいひどい最終回だった。その理由を突き詰めて言えば、「これまでの9話と最終回の前半で描いたストーリーがほぼ無駄だったから」に尽きる。最終回の後半でそれまでのすべてを覆すように話が進み、主人公のももを筆頭に、闇を抱えていた人々が次々と浄化されていく。そして、「わたしはお花」「わたしたちはお花」などと寝言みたいなことを言いながらニコニコ笑って大団円を迎えるという、まるで打ち切りのような終わり方だった。

 なかでも、日本一周に出かけていた中学生が商店街に帰還した場面は奇妙だった。どこからともなく人々がぞろぞろと出てきて彼を取り囲み、一様に満面の笑みをたたえて拍手しながら「おかえり」「おかえり」と口々に歓迎するという謎演出は、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)の最終回にそっくりである。「アニメ史上最高に意味不明な終わり方」といまだに語り継がれるシーンを再現するとは、「野島氏はいったい、何を考えているのだろうか」と頭を抱えてしまった。

 ただ、よく考えてみれば、これは彼の開き直りなのかもしれない。『エヴァンゲリオン』最終回は、それまでに広げた伏線や謎をいっさい回収しないという投げっぷりが逆に話題を呼び、伝説となった。たとえわけのわからない話であっても、勝手に考察してつじつまを合わせてくれる視聴者は、いつの時代にもいるものだ。野島氏がやりたかったのも、これなのかもしれない。

 結末こそ無理やりハッピーエンドにしたものの、野島氏は張るだけ張りまくった伏線や謎を最終回でほとんど回収しなかった。準主役である直人の「天才設定」ですら、ストーリーの中で何ひとつ生かされることなく終わった。『高嶺の花』というドラマタイトルの意味すらも、ぼんやりとしたままである。野島氏が伏線を回収できなかったのか、意図的にしなかったのかはわからない。だが、いずれにせよ謎を投げっぱなしにした物語の代名詞である『エヴァンゲリオン』の最終回をオマージュしたことは明白だ。だとすれば、これは「残った謎は勝手に考察してほしい」という野島氏から視聴者に向けたメッセージなのだろう。筆者はそんな暇つぶしに付き合おうとは思わないが。

 なんだかんだ言いつつ全10話のレビューを書いてきたが、途中からは脚本へのツッコミだけで字数が多くなってしまい、俳優陣についての言及が少なくなってしまった。最後にさらりと触れておきたい。まず、主演の石原さとみ。お芝居としておもしろかったのは、最終回の生け花シーンのみ。次作からは、ハイテンションでまくしたてる演技を本当に封印してほしい。石原の妹役だった芳根京子は、途中から完全に演技も存在感も石原を食っていた。映画『累 -かさね-』(東宝)での演技も好評で、今後がますます楽しみだ。峯田和伸は、どうか音楽活動に専念してもらいたい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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