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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

岡崎市運営による無料の経営相談所が、絶大なる成果を挙げている理由

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

中小企業こそマーケティングを駆使して顧客を獲得する時代

 OKa-Bizとの取り組みにより売上をアップさせたり、メディアに取り上げられたりした地元企業は非常に多い。たとえば、「お米のバー」として展開した渡辺米穀店や、防犯名札の「お名前かくれんぼ」を発売した飯田樹脂などがそれだ。これらはすべて岡崎市内の企業。ほかにも、花火メーカー・太田煙火製造所では発売中止していた花火「ドラゴン」の復活プロジェクトを立ち上げたり、数年後に取り壊しが決まっている市内駅ビルのテナントを格安で誘致するためのパブリシティ発信をしたりする支援などもOKa-Bizでは実施している。

 これらの事例から、OKa-Bizがしっかりと地域の事業者に密着していることが伝わってくるが、それは86%という驚異のリピート相談率からも理解できるところだ。

「全国的に中小企業事業者が経営に関して相談できる窓口が不足していますし、大手コンサルタント企業に依頼するとその費用が経営を圧迫する可能性が高いという実情もあって、この相談件数やリピート率につながっているのでしょう。自社への継続的な契約獲得のために最善ではなくセカンドベスト的なアドバイスをするという一部のコンサルタント会社とは違い、OKa-Bizは非営利組織のためニュートラルで客観的なアドバイスができるのも強みだと思われます。運営主体が地方自治体のために無料で相談できることは、やはり大きな魅力ですね。

 ところで、かつては『マーケティング』というと大手企業が部署を設置して専門的に進めるイメージが強くありましたが、SNSなどの普及により現代では個人事業主や中小企業こそマーケティングを駆使して顧客を獲得する時代になっています。そういった時代背景と中小企業に対する自治体の支援がマッチしているのではないでしょうか」(同)

 OKa-Bizの成功もあって、同様の相談所は全国18カ所に拡大。今年8月にはムーブメントの大元となった富士市で、これらBiz団体の会合である「第1回全国Bizサミット」も開催された。政府主導ではなかなかうまくいかなかった地方創生も、自治体の努力により状況は変わりつつあるようだ。今後も各地方都市のBiz団体の活躍から目が離せない。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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