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松村太郎「米国発ビジネス&ITレポート」

革命児テスラ、存亡の危機…マスクCEOのマリファナ事件、赤字膨張、自動車大手もEV本腰

文=松村太郎/ITジャーナリスト
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実際、非上場化は茨の道

 非上場化は過去を振り返ると茨の道だ。

 テスラが1株当たり420ドルで非上場化した場合、時価総額は720億ドル。9月7日現在の株価でもおよそ450億ドルとなる。米国でこれまでに最大の非上場化をしたのはTXU Energyで、318億ドルだった。しかし、そのTXUは2007年の非上場化から7年で連邦破産法第11条を申請し、倒産している。

 もとより、赤字が増大し続けているテスラにとって、非上場化は危険すぎるのだ。シリコンバレーの企業は、必ずしもニューヨークの投資家との間に良好な関係を築けているわけではない。そもそもシリコンバレーは、米国のベンチャー投資の5割以上を占めており、起業や成長は域内で行われていく企業がほとんどで、上場までウォール街のしきたりとは無縁で過ごせるからだ。

 しかし、ウォール街に金字塔を打ち立てたのはシリコンバレーの企業だった。2018年第3四半期決算の好調さを受けてアップルは8月2日、米国の上場企業として初めて時価総額1兆ドルを達成し、2018年9月にアマゾンもこれに続いた。

 アップルのティムクックCEOは「長期ビジョンを求められながら、90日ごとに評価される」決算の仕組みに疑問を抱きながらも、今価値がある企業として株主を魅了する良好な関係づくりを実らせた。一方のアマゾンは米小売業界で過去10年間、株価を2000%近く上昇させる成長を遂げ、さらに将来への高い期待を反映させた。

 テスラも、圧倒的なビジョンと、株主や投資家との良好な関係づくりによって、上場企業としてより良い方向へと進むことができる可能性を秘めている。しかし、既存の自動車業界の電気自動車シフトが一挙に進むまで、あまり時間は残されていない。
(文=松村太郎/ITジャーナリスト)

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