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みずほ銀行とソフトバンク、個人の信用格付け情報を提携企業へ提供…重要事業として展開

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 本審査の結果を受けて、融資(レンディング)の契約が行われる。貸し付けの金利と契約極度額(契約上の利用可能な上限、この範囲の中で限度額が設定される)はAIスコアリングに基づいて決められる。一連の手続きはスマートフォン上で完結させることができる。店舗に行き、書類を提出したり印鑑を押す必要はない。

 理論的に考えると、このビジネスモデルはよくできている。ビッグデータを用いてシステム的に信用力の評価を行うことは、より客観的・精緻・迅速な信用力の評価を可能にする。それは、貸出債権が焦げ付き不良債権化するリスクを抑えるために有効な発想といえる。その上で、収入証明などを確認することによって、提出資料が改ざんされるリスクも抑制できるだろう。

 一連のオペレーションをネットワーク上で行うことによって、同社は経営にかかるコストを抑制しようとしている。その発想は、金融機関が目指しているコストの削減と、新しい収益源の確保を同時に目指していることといえる。

透明性ある信用力評価の重要性

 
 ジェイスコアのスコア・レンディング事業のなかで重要性が高まると考えられるのが、スコアリング=信用力の評価に関する取り組みだ。特に、AIによる個人の信用力評価のプロセスを客観的に説明することは重要だ。

 すでに、中国では個人向け金融をネットワーク上で実行する考えが急速に普及してきた。その分野では、中国の取り組みが世界を主導しているといっても過言ではない。なかでもIT大手のアリババ集団が展開する“芝麻(ゴマ)信用”は大きな注目を集めている。

 ただ、ゴマ信用のビジネスモデルが世界各国で実行可能とはいいづらい。その理由は、どのように個人の信用力を評価しているかが明らかになっていないからだ。ユーザーの信用力の分布がどのようになっているかも公表されてはいない。そのため、アリババのスコアリングビジネスが各国の規制などに対応できるかは不透明と考える金融の専門家もいる。

 そうした問題をクリアすることが、ジェイスコアの成長につながるだろう。アリババのスコアリングの内容は、事実上のブラックボックスだといえる。ジェイスコアが世界のフィンテック企業と競争していくためには、逆転の発想があってもよい。つまり、信用審査のプロセスをオープンにし、実務と理論(アカデミズム)の両面から説明に耐えられる評価方法の確立を目指すことが大切だ。

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