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荻原博子「家庭のお金のホントとウソ」

安倍政権下で「移民」が倍増…日本の健康保険制度の危機がひっそり進行

文=荻原博子/経済ジャーナリスト

 さらに、移民政策に大きく舵を切ったにもかかわらず、「骨太の方針」では、わざわざ「移民政策とは異なるものとして、外国人材の受け入れを拡大する」と書いています。50万人もの「単純労働者」を含む「移民」を入れるというのに、この期に及んで「移民ではない」と強調するというのは、わけがわかりません。これは単に、これまで「断じて入れない」などという強気発言をしてしまっているので、その辻褄合わせなのでしょう。

 こうした政府の曖昧なスタンスも、移民問題を正面切って論じにくい状況にしています。実は、こうした状況が、私たちの将来をゆがめ、大きな禍根を残すことになるかもしれません。特に、日本の社会保障を揺るがす大きな要因になるのではないかと、個人的には危惧しています。

外国人による国民健康保険の不正利用事件が多発

 私は、「移民」を入れないほうがいいとは思っていません。日本がグローバル化するなかで、海外人材の受け入れや交流は避けられないことだからです。

 そして、外国人労働者と共存していくのであれば、その人格を認め、日本人と同じような保障も与えていかなくてはならないと思っています。彼らは、一緒に働いて、一緒に暮らしていく隣人なのですから。一方で、日本の社会保障制度は、ただでさえ財政難で危機的な状況です。

 今、外国人による国民健康保険の不正利用事件が多発しています。日本には、海外に比べて手厚い医療制度があります。自営業者は国民健康保険に、会社員は社会保険に加入して、病気になれば多くの人が自己負担3割で治療してもらえます。70歳以上では自己負担1割という人が主流です。

 たとえば、年収約370万円から770万円の人の場合、3割負担なので100万円の治療を受けても病院の窓口で支払うのは30万円となります。さらに、医療費が1カ月で上限額を超えた場合は超過分が払い戻される「高額療養費制度」があります。同制度を使うと、図のように窓口での30万円の支払いから約21万円が払い戻され、自己負担は最終的に約9万円で済みます(あらかじめ手続きをしておくと、窓口で一括処理してくれる病院もあります)。

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 ここでかかった医療費100万円のうち、自己負担が約9万円で、残り約91万円はどうなるのかといえば、みなさんが支払っている健康保険料や税金でまかなわれます。

 しかも、夫婦でそれぞれ100万円の治療を受けても、加入している保険が同じなら合算できるので、2人で約9万円の自己負担となり、約191万円はみなさんが支払った健康保険料や税金でまかなわれることになります。

荻原博子/経済ジャーナリスト

荻原博子/経済ジャーナリスト

大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。

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