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篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」

オーケストラ演奏家たちだけが知っている、中毒になる超絶の興奮と感動

文=篠崎靖男/指揮者

 さらに、個人では買えない特殊楽器を購入したりレンタルするのも、大きな出費となります。それでも、プロとは違い、楽員には出演料がかからないので、年間700万円弱の支出で抑えられるといえますが、それにしても少ない額ではありません。もちろん、各個人の楽器購入代金、楽器のメンテナンス、個人レッスン料、交通費等はそれぞれの自己負担です。

 これが大学のサークル活動、特に歴史ある大学のオーケストラともなると、大学の援助金だけでなくOBからも援助を受けるので、資金は潤沢です。一流の指揮者やソリストを招き、通常の演奏会はもちろん、ヨーロッパ公演なども行われます。そして、欧米の聴衆は、一般大学のオーケストラのレベルの高さに驚くのです。

 どうして、そこまでしてオーケストラで演奏したいのでしょうか。これには、さまざまな理由があると思いますが、突き詰めていくと結局は、指揮者も、プロの音楽家も、アマチュアの音楽家も、学生も同じです。どんなに苦労を重ねても、作曲家たちの素晴らしい作品を演奏することで得られる感動を知ってしまうと、もう次の感動なしにはいられなくなるからだと思います。オーケストラのステージでは、まるでお祭りのクライマックスでの最高潮のような瞬間が何度も訪れます。音楽の特異性として、空気を伝わった音が、その場にいるすべての人々の耳に平等に届くので、聴衆を巻き込んでホール全体が興奮に包まれたときの感動は、忘れることが不可能なのです。

 僕には、この感動を文章で表現する力はありません。ぜひ、コンサートにお越しください。

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

 桐朋学園大学卒業。1993年ペドロッティ国際指揮者コンクール最高位。ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクールで第2位を受賞し、ヘルシンキ・フィルを指揮してヨーロッパにデビュー。 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後ロンドンに本拠を移し、ロンドン・フィル、BBCフィル、フランクフルト放送響、ボーンマス響、フィンランド放送響、スウェーデン放送響、ドイツ・マグデブルク・フィル、南アフリカ共和国のKZNフィル、ヨハネスブルグ・フィル、ケープタウン・フィルなど、日本国内はもとより各国の主要オーケストラを指揮。2007年から2014年7月に勇退するまで7年半、フィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者としてオーケストラの目覚しい発展を支え、2014年9月から2018年3月まで静岡響のミュージック・アドバイザーと常任指揮者を務めるなど、国内外で活躍を続けている。現在、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師(指揮専攻)として後進の指導に当たっている。エガミ・アートオフィス所属

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