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津田建二「IT/エレクトロニクス業界の動向」

半導体市場、「ハイパーサイクル」など存在しなかった…メモリ「バブル」終焉の後先

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 2018年第3四半期までDRAMは値上がりを続けてきたが、第4四半期にはようやく値下がりする気配を見せてきた。メモリ価格を調査する市場調査会社トレンドフォース社のメモリ部門DRAMエクスチェンジは、第4四半期のメモリ単価は、前四半期比1~3%値下がりと当初は見ていたが、9月26日のニュースリリース(参考資料1)によれば、5%値下がりと見方を変えた。

NANDフラッシュは歩留まり向上で生産量増加


 一方、NANDフラッシュは「ムーアの法則」の行き詰まりが表れ、平面ではなく3次元に移行していった。メモリセルをシリコンの中に埋め込むようなかたちで64層(64セル)にも埋め込み、最下層のセルから電極を取り出すための深いエッチングや堆積技術が求められるようになった。このため製造プロセスを大きく変えざるを得なくなり、新たな製造装置が求められるようになった。この結果、東京エレクトロンや日立ハイテクノロジーズ、日立国際電気などの製造装置メーカーが大いに潤った。

 3次元NANDフラッシュメモリの深いエッチング技術では、ばらつきの少ない安定したプロセスを確立することが容易ではなかった。このため、ほとんどのプレイヤーが歩留まり(良品率)改善策に全力を投じてきた。これが2017年いっぱい続いた。エンジニアたちの努力が実を結び、2018年に入りようやく多数のチップを量産できるようになってきた。その後は順調に生産を増やすことができ、製造コストが下がり、販売単価も下げられるようになってきた。

 ここにきて、3次元NANDの歩留まりが上がると、ある程度の生産量を確保するための製造装置を大量に揃える必要がなくなったため、製造装置の出荷が6月に大きく落ちてきたのである。製造装置メーカーは今、慌てているが、これまで3次元NAND向けの装置で大儲けしてきたことへの反動であり、これからは減速というよりも安定期に入ることになる。

メモリ単価の下落で用途・容量が拡大


 ただし、メモリビジネスは今回のバブル期を除き、新製品が市場に出てくるとメモリ単価はじわじわと値下がりしてきていた。値下がりするのは、歩留まりが増え、生産数量を増やせるようになるからだ。メモリのような大量生産製品では、供給が増えると値下がりする。その分生産量を拡大できるため、用途や容量が広がることになる。DRAMはコンピュータ用途だけだったが、スマホやテレビなどにも使われるようになってきている。

 また、スマホならこれまで2Gバイトを搭載していた機種が3Gバイトを搭載できれば、高速処理が可能になる上に、画像をもっときれいに見せることができるようになる。NANDフラッシュでは、従来の携帯電話やデジカメからスマホへと拡大してきて、それがパソコンやハイエンドコンピュータにまで広がってきた。

 このようなメモリビジネスの特徴を押さえておけば、メモリ単価の値上がりはこの2年間、異常なバブルであったといえ、「スーパーサイクル」は起きていない。ただし、これからIoTやAI向け半導体チップが少しずつ生産され、新分野への期待は膨らむ。
(文=津田建二/国際技術ジャーナリスト)

参考資料
1.DRAM Products May Experience Steeper Price Decline of 5% QoQ in 4Q18 Due to Oversupply and Weak Demand, Says TrendForce(2018/09/26)

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