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西川立一「流通戦争最前線」

渋谷、大変貌の全容…大規模複合施設が続々、緑と潤いの「大人の街」化、人気飲食店も集結

文=西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー
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大人と若者を取り込む両面作戦

 こうして店舗のラインナップを見てくると、新業態や内外から人気店を誘致し、今まで渋谷になかった飲食ゾーンをつくり出し、立ち位置を明確にし、飲食店激戦区の渋谷で新たな魅力を発信し、大人をターゲットにしながら同時に若者の取り込みも図ろうとしている。

 大人は若者の店に足を運ぶのは敬遠しがちだが、若者は大人向けの店に躊躇なく足を踏み入れる。大人を謳うことにより、大人はもとより、ちょっと背伸びをしたい若者を取り込む両面作戦でもある。

 東横線渋谷~代官山間の地下化によって新たに創出されたトンネル上部の線路跡地に、ホテル、飲食店、オフィス、保育園の複合施設「渋谷ブリッジ(SHIBUYA BRIDGE)」も9月13日、部分オープンした。

 B棟の1~7階はシンクグリーンプロデュースが初めて手がけるホテル事業の「マスタードホテル渋谷」、1階に併設されたカフェ・バー・パティスリー「ミーガン」と、カフェ「ノー レイル ノールール」が出店している。

ドンキ、デベロッパーとして初めて取り組む街づくり

 こうして東急グループ主導で進む渋谷再開発に、新たにドンキホーテホールディングスが、「文化村通り」で名乗りを上げた。「(仮称)渋谷区道玄坂二丁目開発計画」は、1~3階が店舗、4階~10階がオフィス、11階~28階がホテルの大型複合施設、竣工は2022年4月を予定している。

 1999年に同社初の都市型多層階店舗としてオープンした「ドン・キホーテ渋谷店」を拡張するために、周辺の用地取得を進めていたが、昨年5月、近くに「MEGAドンキ・ホーテ渋谷本店」を設けたことから店舗用地が不要となり、今回の再開発となった。

 商業ゾーンの詳細は今のところ未定だが、ホテル、オフィス立地を意識し、来街者の取り込みも狙ったものになるものと思われ、ドンキ独自のユニークな発想も期待され、若者だけではなく客層の拡大も図っていることから、どのような構成になるのか注目される。

 ホテルはインバウンド需要の取り込みに長けたドンキが、どのようなホテルを誘致し、コミットしていくかも注目だ。オフィスは、渋谷にサイバーエージェントやディー・エヌ・エーなどの本社がすでにあり、グーグル日本法人本社が渋谷ストリームに移転を予定するなど、ITなどクリエイティブ企業の集結が進み、ドンキもこうした企業の誘致に力を入れていく。

 流通業の勝ち組であるドンキが、デベロッパーとして初めて取り組む街づくり。独特な店舗づくりで培われたドンキならではのユニークな手法が展開され、さらに新たな試みが加われば、従来にない面白いものが生まれるだろう。

 来秋には「公園通り」のパルコ跡地に地上20階地下3階のオフィスビルと商業施設の複合ビルも開業し、東急だけではなくパルコ、ドンキが加わることで、街の表情もより多彩になる。いずれにしても最先端企業のオフィス街の性格を強めながら、渋谷が大人の街に変身することで、銀座、新宿、池袋といった東京都心の繁華街の勢力地図も塗り替えられることになろう。
(文=西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー)

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