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東京都、小池知事に言論規制措置の権限を与える人権条例採択へ

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「条例概要」では、(1)不当な差別的言動が行われる蓋然性が高いこと、(2)不当な差別的言動が行われることで、公の施設の安全を確保できないことが客観的かつ明白に明らかであること、という2つの要件が示されていた。

 それがすっぽりと条例案から抜け落ちている。

 さらに第三者機関(審査会)も期待できない。5人以内の審査委員を知事が委嘱し、審査会は意見を述べることはできるが、強制力はまったくない。

 田島氏がもっとも懸念するのは、「差別的言動、権力への批判も含め、差しさわりのある、あるいは目障りな言論が広く取り締まりの対象とされない」ということなのだ。

関東大震災時の朝鮮人虐殺と「東京都人権条例」

 今回の条例案に対しては、言論や表現活動の取り締まりが拡大する恐れを念頭に置きながらも、「ひどい差別的言動を制限する必要があるのではないか」と思う良心的な人も少なくないだろう。

 条例が成立すれば新たな権限を持つことになる小池知事は、差別に対してどのように考えているのか。

 就任以来2度、関東大震災における朝鮮人虐殺の慰霊式に際して、これまで歴代知事が行っていた追悼文を拒否している。とくとめ道信議員(共産党)が9月26日の代表質問で、小池都知事に問いただした。質問に対する小池知事の答弁は次のとおり。

「関東大震災におけます、朝鮮人虐殺への追悼文に関してでございますが、この件はさまざまな内容が史実として書かれていると承知を致しております。何が事実かにつきましては、これまで申し上げてきたとおり、歴史家がひもとくべきだと考えておりまして、わたくしは東京都知事として東京都で起こった甚大な災害と、それに続くさまざまな事情で亡くなられたすべての方々に対しまして、哀悼の意を表するところでございます」

 慎重な言い回しではあるものの、歴史的事実を認めていない。その小池知事が、「本邦外出身者の人権」を真剣に守るつもりはあるのだろうか。

 関東大震災直後に「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などという流言飛語で、多くの朝鮮人が虐殺され、社会主義者なども虐殺された。

 震災発生6日後の1923年9月7日に緊急勅令で公布、即日施行された「治安維持令」がある。朝鮮人らへの暴行虐殺という大混乱に対して、治安を維持する目的で出されたものだ。昔の表記で読みにくいが、文面を挙げる。

「出版通信其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルヲ問ハス暴行騒擾其ノ他生命身体若ハ財産ニ危害ヲ及ホスヘキ犯罪ヲ煽動シ安寧秩序ヲ紊乱スル目的ヲ以テ治安ヲ害スル事項ヲ流布シ又ハ人心ヲ惑乱スル目的ヲ以テ流言浮説ヲナシタル者ハ十年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス」

 関東大震災直後の混乱は、現在のヘイト活動をエスカレートさせたような状態だった。そうした差別的言動、というより差別的暴行虐殺を取り締まるための緊急勅令だったのである。

 しかし、真の意図は社会主義者、労働運動家など反体制派に対する弾圧であり、実際そのように運用され、1925年4月22日の治安維持法公布とともに、用済みになった「治安維持令」は廃止された。

 今回の東京都人権条例案が、「治安維持令」の役割を担う可能性はないのか。そして「治安維持法」につながる恐れはないのか――。最大の争点はここにある。
(文=林克明/ジャーナリスト)

※本会議採決を前に、「デモくらい自由にさせろ実行委員会」有志が10月5日正午から都議会前広場付近で抗議活動を行う予定だ。

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