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成馬零一「ドラマ探訪記」

のん主演LINEドラマ『ミライさん』は『あまちゃん』の「その後」である

文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家
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『あまちゃん』から5年がたつが、良くも悪くも彼女の演技は変わっていない。 女優には、2つのタイプがいる。役ごとに化けるタイプと、吉永小百合のように同じイメージを何年も守り続けるタイプだ。

 おそらく、のんは吉永小百合タイプの女優になるのだろう。歌手や「創作あーちすと」の活動も含めて、彼女のイメージは固定化している。しかし、彼女はまだ25歳だ。もっといろいろな可能性を試してもいいのではないだろうか。

 これは、『ミライさん』に感じる不満でもある。新しい試みのはずなのに、どうにも保守的に見えるのは、のんの既存のイメージに乗っかりすぎているからだ。設定やアイテムは新しいのに、ドラマとしては保守的。これは昨年「AbemaTV」で放送された『72時間ホンネテレビ』にも感じたことだが、器は新しいのに中身はテレビとたいして変わらないというのが、日本のウェブ系映像作品の現状でもある。もっとウェブドラマにしかできないつくりでもよかったのではないか。

 本作には、特典映像の動画もある。こちらは縦長の動画で、ミライさんがスマートフォンに語りかける姿が延々と映されるのだが、個人的にはこちらの映像に未来を感じた。

 本作はスマホで観られることを意識したつくりとなっている。今のテレビドラマは地上デジタル放送開始以降の薄型テレビに対応した16:9の横長の映像となっているが、スマホの縦長の9:16の映像であれば、高さの表現や人物のフルショットを違和感なく入れられる。何より、スマホ越しに直接、俳優が語りかけているかのような距離の近さがある。

 おそらく、『ミライさん』以降も、のんとLINEが組んだ映像作品はつくられるだろう。そのときにカギとなるのは、ウェブという場所でしかできない物語や映像を、どれだけ追求できるかだ。ウェブドラマは、始まったばかりの映像作品である。表現の可能性は無数にあるのだから、もっと自由に冒険してほしい。
(文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家)

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