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ツタヤ図書館騒動、市営プールで女児死亡…公共施設の民間委託が実質破綻、逆の動きも

文=小川裕夫/フリーランスライター

 現在、ネット通販の台頭や電子書籍の普及によって、街の書店は次々と廃業している。これまで、書店は地域文化の担い手、情報発信拠点などと解されてきた。街の書店とアマゾンでは、品揃えに段違いの差がある。街の書店が品揃えでアマゾンに対抗することは難しく、それゆえに廃業するのは自然な流れでもある。

 しかし、ネット通販と比較してリアル店舗の書店には、客の関心外の本が棚にたくさん並び、それらを見てふと気になったり、興味を引かれたりして購入しやすい傾向が強いという指摘もある。一方、流通制度の関係でどの書店でも品揃えが金太郎飴化しやすく、他の業種とは異なり個性を打ち出しにくい。よって差別化が図れず、結局は巨大化で対抗する書店が後を絶たなかった。

 しかし、巨大化した書店はベストセラーを販売するだけなので、書店の個性はない。結局は品揃えでアマゾンに太刀打ちできず、敗北を喫する。こうして、街の書店は淘汰され、次々と書店が潰れたことで、書店のない市町村も出てくるようになる。書店のない市町村問題は、一部の自治体から危機と受け止められるようにもなっている。

 そうした問題を回避すべく、自治体が出資したり、支援したりする書店も現れている。青森県八戸市では、市が出資した書店「八戸ブックセンター」が16年に開店。八戸市は人口が22万人の都市で、書店がゼロというわけではない。しかし、ベストセラーとは無縁の専門書を扱う書店がないことから、市営書店がオープンすることになった。

 また、自治体が出資しているわけではないが、芥川賞作家・柳美里さんが18年4月、「フルハウス」を福島県南相馬市の小高駅近くにオープンさせた。店内には柳さんがセレクトした本が並ぶ。同書店には、東日本大震災からの復興や地域振興といった意図も含まれている。そのため、福島県や南相馬市などの公的機関をはじめ、地元の高校やFM局などが開店準備や運営に協力をしている。

 公立図書館が民営化する流れが大きくなるなか、書店が公営化するという相反した現象が起きつつある。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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