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我が国の刑務所は、認知症の高齢者や障害のある人たちの「福祉施設」と化していた

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 刑務所に入るとき、受刑者は必ず知能検査を受ける。一般的に、知能指数が69以下の場合に知的障害があるとみなされる。2017年に新たに刑務所に入った受刑者は1万9336人。うち、3879人の知能指数が69以下だったという。つまり、受刑者10人に2人くらいは知的障害のある可能性が高いということになる。刑務所のなかは、一般社会と比べても、知的障害のある人が圧倒的に多いことがわかる。

 しかも、知的障害のある受刑者は再犯することが多く、服役回数は平均3.8回だという。再犯者の約半分は、出所から次の事件を起こすまでが1年未満と短い。出所しても、またすぐに罪を犯して、刑務所に戻ってくることになる。犯罪全体の認知件数はこの15年間で3分の1以下に減ったが、知的障害のある人の犯罪はあまり減っていないという。犯罪といっても、ほとんどは窃盗や無銭飲食、無賃乗車などの軽い罪が多いのが特徴だ。

「メディアのみなさんのおかげもあり、ようやくこの問題は少しずつ社会に伝えられるようになってきています。私自身も及ばずながら、この十数年、厚生労働省や法務省の人たちと一緒になって、研究活動、実践活動、あるいは政策提言をやってきました。そうしたなかで、本当に大きく変わりました。さまざまな制度もできました。

 ただし、私は『制度』というものには危うさも感じています。必ず、制度の中から漏れる人が出てくるからです。制度をつくったばかりに、その枠内に入らない人が、かえって排除されてしまうことになりかねない。戦後いろいろと福祉制度は整えられてきましたが、その制度から漏れた人が、まさに今、刑務所にいる障害者たちなのです。でも、ともあれ、この問題に目を向ける予算も付いてきた。厚労省と法務省の、福祉と刑事司法の連携みたいなことも進んできた。確かに、相当変わってはきたものの、現実を見ると実際はまだまだなんですけどね」(同)

中央省庁が障害者雇用を水増し


 それを目の当たりにする事態が、つい先日も明らかになった。「障害者雇用促進法」で企業や国・自治体に義務づけられている障害者の雇用について、肝心の中央省庁が雇用者数を何年も水増ししていたことが発覚したのだ。法定雇用率は今年4月の改訂で、民間企業は2.0%から2.2%に、国や自治体は2.3%から2.5%に引き上げられたばかり。

 昨年6月1日現在の民間企業の達成率は50%、国の33行政機関の達成率は97%とされていたが、これが嘘だったことになる。達成できなかった民間企業からはひとり当たり月5万円の納付金を徴収する一方、達成した企業には補助金が交付される制度だが、国や自治体は未達でも納付金の徴収は義務づけられていない。

『刑務所しか居場所がない人たち : 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話』

刑務所が“おうち”になっちゃった!? 塀の中は、社会の中で行き場をなくした人たちの最後の避難所――ヘンテコで悲しいこの国の現実。

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『獄窓記』

政治家の犯罪。それは私が最も嫌悪するものだった――。三十代の若さで衆議院議員に当選した私は、秘書給与詐取事件で突然足元を掬われる。逮捕、そしてまさかの実刑判決。服役した私の仕事は、障害を持った同囚たちの介助役だった。汚物まみれの凄惨な現場でひたすら働く獄中の日々の中、見えてきた刑務所の実情、福祉行政への課題とは。壮絶なる真実の手記。新潮ドキュメント賞受賞。

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