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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

ふるさと納税、着実に成果…「返礼品競争」批判は的外れ、税収増は評価されるべき

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
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 地方自治体へ寄付することで、所得税や住民税が減額され、さらに寄付先の自治体から返礼品がもらえるのが「ふるさと納税」。2008年から実施されているこの制度は、給与所得者でも手軽に節税ができるとあって、これまで適用者を増やし続けている。

 しかし、近年は返礼品競争が各自治体間で過熱。地場産品とは関係ない返礼品を用意する自治体などもあることから、制度の形骸化が指摘されている。これを受けて9月、野田聖子総務大臣(当時)は記者会見で、「過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることを検討する」と制度の見直しに言及。具体的には、「返礼品の還元率を3割以下かつ地場産品に限る」との方針を示した。

 このように総務省からも制度見直しの方針が明らかにされ、制度の失敗がささやかれるが、「マーケティング的には現状でも問題ない」と話すのは立教大学経営学部でマーケティングを教える有馬賢治氏だ。

地場産の返礼品でなくともバイヤーとして評価すべき

「返礼品競争と呼ばれていますが、各自治体はあくまで公的機関ですので赤字を出してまで返礼品を用意しているわけではありませんし、採算の合わないことはできません。そのなかで、ふるさと納税によって税収を増加させている自治体は、マーケティングによる努力の成果が実っていると捉えることができます」(有馬氏)

 だが、その土地と関係のないものを返礼品としている自治体があることも事実。

「すべての自治体に、魅力的な名産品が常に揃っているわけではありません。たとえ地域に関係ないものを返礼品としていたとしても、それはその自治体の担当者が資源のハンディを補おうと考えぬいた成果でしょう。そういう意味では、その担当者は企業でいえばバイヤー的な役割を担っていると考えられます。担当者がバイヤーとしてのセンスと選択眼を発揮した結果として税収がアップしたのでしたら、マーケティング的には成功していると評価できるわけです」(同)

 総務省の発表を受けて、槍玉に挙げられている大阪府泉佐野市は、「地場産品が多様な自治体との間に格差が生じる」と反論のコメントを寄せた。泉佐野市は昨年のふるさと納税寄付額が全国1位の135億円で、確かに有効な返礼品展開が増収につながっているという見方もできる。

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