NEW
金子智朗「会計士による会計的でないビジネス教室」

ライザップ、「見せかけの利益」水増し経営…赤字のワケあり企業を次々買収は錬金術か

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

見せかけの利益を押し上げる「負ののれん」

 これらのM&Aが、グループの売上高急拡大の大きな原動力になっている。しかし、RIZAPグループの業績判断をする上では、気をつけなければならない会計上の仕組みがある。

 それは、M&Aに伴って発生するのれんの処理だ。のれんとは、被買収企業の会計上の評価額と、実際の買収額との差額だ。会計上の評価額には会計上認識される限定的な情報しか反映されていないので、通常はそれを上回る価額で買収するのが普通だ。その場合、のれんはプラスとなる。

 しかし、RIZAPグループの場合、大半を会計上の評価額を下回る価額で買収している。その場合ののれんはマイナスになるので「負ののれん」と呼ばれる。2016年度は7社中4社、2017年度は6社中実に5社で負ののれんが発生している。

 会計上、正ののれんと負ののれんは扱いが異なる。正ののれんは資産に計上するが、負ののれんは収益として損益計算書に計上することになっている。かつては、負ののれんを負債に計上するというルールの時代もあったが、会計上の評価額を下回る価額で買収するというのは、いわば「ワケあり商品を安く買う」という特別なケースなので、現在は一気に収益として顕在化させるルールになっている。

 日本基準においては、負ののれんはその特別な性質から文字通り特別利益に計上することになっている。しかし、RIZAPグループはIFRS(国際会計基準)を採用している。IFRSでは、負ののれんは「その他の収益」として営業利益に含めることになっている。さらに、IFRSでは正ののれんは償却対象外なので、減損の対象にならない限り費用化されない。

RIZAPの業績は本物か見せかけの錬金術か

 かくして、負ののれんの分だけ営業利益が押し上げられることになる。RIZAPグループの2018年3月期におけるその額は87億円。これを除くと営業利益は48億円となり、売上高営業利益率は10%から3.5%になる。これをもってRIZAPグループの本当の収益力と見るべきだ。

 そもそも、なぜ会計上の評価額を下回る価額で買収できているのかというと、被買収企業が業績の悪い「ワケあり商品」だからだ。実際、半数企業が赤字企業なのである。今第1四半期は、負ののれんという水増し分がなくなったことによって、その赤字が表面に出てきたともいえる。

 RIZAPのM&A戦略は、おそらく業績不振の企業を安く買ってそれを立て直し、グループ全体の業績に貢献させようというものだろう。RIZAPが言う「計画通りの先行投資」が本当にその通りならば、効果が現れるのはこれからだ。また、カルビーの最高経営責任者(CEO)からRIZAPグループの最高執行責任者(COO)に就いた松本晃氏は、「規模を拡大すればいいというわけではない」と言っており、やみくもなM&Aに一定の歯止めもかかりそうだ。

 RIZAPグループの業績は本物なのか見せかけの錬金術なのか。その答えは「第2四半期連結会計期間以降については、大幅な成長を見込んでおります」という言葉通りになるかどうかでわかるだろう。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)

ライザップ、「見せかけの利益」水増し経営…赤字のワケあり企業を次々買収は錬金術かのページです。ビジネスジャーナルは、連載、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

Ranking
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合

関連記事