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運送業界、「働き方改革倒産」増加の懸念…ドライバー不足も深刻で新規受注困難の業者も

構成=長井雄一朗/ライター
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経営者の高齢化で「あきらめ型倒産」増加か

――今後の流れについては、どう見ていますか。

加藤 金融機関の姿勢が変わって「すぐに債務を返済してください」となるのは考えにくいでしょう。とはいえ、金融機関がさらなる債務の条件変更や返済猶予に応じるためには、それなりの経営計画の策定が必要になります。そこで必要なのは“軍師”です。売り上げや利益について具体的なビジョンを描けるブレーンの存在が肝要になってきます。

 また、全国の社長の平均年齢は59.5歳で過去最高となっています。債務の返済が猶予されているうちに、「これ以上粘っても仕方ない」とあきらめるケースもあるかもしれません。

――経営者の高齢化も関係してくるということですね。

加藤 赤字が続いて人材の流出が止まらなければ、「もはやこれまで」と事業継続をあきらめる。そんな事例が増えてきているのは、社長の高齢化も一因でしょう。そんな「あきらめ型倒産」が、今後は増えていくかもしれません。親族に引き継ぐなどの事業承継を行わずに自分の代で終わらせる場合は、倒産ではなく休廃業・解散を選択することも多いです。そのため、17年の休廃業・解散件数は2万4400件と倒産の2.9倍に達しています。

 また、小規模の会社であれば社長のモチベーションなどは従業員にダイレクトに伝わります。そのため、「条件のいい他社に移ろう」という意識も強くなり、人材流出を助長することにもつながります。

――人手不足に関して、今後の注目業種はなんでしょうか。

加藤 「道路貨物運送」です。景気回復や通販市場の拡大で配送需要が高まるなか、ドライバーの確保が追い付かず、新規受注難から資金繰りが悪化して倒産に至るケースが目立ちます。トラックなどを増やしても、ドライバーがいなければ、その投資は無駄になります。また、「働き方改革」によってドライバーの長時間労働が是正されることで、それまでと同じ量の仕事を回すのが難しくなってきています。

――これからの企業の成長要因は、人材確保と生産性向上にありそうですね。

加藤 メーカーなどの自動化・機械化できる業種は、投資すれば生産性が向上します。しかし、運輸や介護などは機械化が難しく、それらの業種は今後も人手不足倒産が増えるでしょう。シニアや外国人の活用も議論されていますが、業種によっては言葉の壁があったり資格が必要だったりするケースもあります。基本的には従業員の処遇を改善すること、最終的には既存の従業員の定着率を上げることが、企業の成長のカギとなるでしょう。
(構成=長井雄一朗/ライター)

【※1】
従業員の離職や採用難等により収益が悪化したことなどを要因とする倒産(個人事業主含む、負債1000 万円以上、法的整理)を「人手不足倒産」と定義

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