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スルガ銀行、創業家に488億円の不適切融資…金融庁が手抜き検査、前長官は海外逃避

文=編集部
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【ファミリー企業が保有するスルガ銀行株式数と持ち株比率(2018年3月末時点)】
・エス・ジー・インベストメント…1270万2000株、5.47%
・スルガ総合保険…1099万9000株、4.74%
・エス・ジー・アセット…675万株、2.91%
・一般財団法人スルガ奨学財団…540万1000株、2.33%

 ファミリー企業の中核は、筆頭株主のエス・ジー・インベストメントと第7位株主のエス・ジー・アセットである。両社は東京都中央区日本橋室町に本社を置き、社長はいずれも岡野3兄弟の末弟、岡野喜平太氏。長男がスルガ銀行前会長の光喜氏、次男が副社長を務めた故・喜之助氏。喜平太氏はスルガ銀行の役員ではないが、ファミリーの中核企業を率いている。

 エス・ジー・インベストメントは貸ビルを経営する不動産賃貸会社で、エス・ジー・アセットはデベロッパーだ。

 富士山と駿河湾を望む静岡県駿東郡長泉町の愛鷹山山麓。スルガ銀行創業の地、静岡県沼津市に隣接するこの地では、 1970年代に住宅開発が始まった。分譲するのがエス・ジー・アセットだ。

 敷地300坪級の高級邸宅400戸が並ぶ「スルガ平」は、テニスコートやゴルフ場、レストランもあり、「静岡のビバリーヒルズ」と呼ばれている。隣接して花、美術館、食をコンセプトにした複合文化施設「クレマチスの丘」がある。

 光喜氏ら3兄弟の父であるスルガ銀3代目頭取の喜一郎氏は稀代のコレクターとして、美術界に大きな足跡を残した。戦後、彗星のごとく登場したフランスの天才画家、ベルナール・ビュフェに魅せられ、私財を擲ってビュフェの作品を一点一点買い集めた。1973年、世界初のビュフェ美術館をクレマチスの丘に建設した。喜一郎氏と旧制沼津中で同窓だった作家・井上靖の文学館もある。スルガ平とクレマチスの丘は、岡野家にとって“聖地”なのだ。

 創業家一族はファミリー企業を通して保有するスルガ銀行株を売却する意向を示している。だが、不正が発覚後、株価は大暴落。ファミリー企業は融資を受ける際の担保にスルガ銀行株を提供しているが、いま担保に入っている株を売却しても、融資している額の半分も回収できないだろう。残りは法的整理を申し立てて回収するしかない。

 問題は創業家個人に転貸された69億円の回収だ。ほかのファミリー企業を手放しても、スルガ平とクレマチスの丘は岡野家が死守することは確実とみられている。“戦犯”の岡野光喜氏とは直接のかかわりのない法人なので、法的整理申し立てなどの強硬手段は採れない。

「創業家の傀儡にならないと言い切れるのか」との質問が、有國社長に向けて飛んだ事実を見過ごすことはできない。有國社長は「そのつもりで引き受けた」と答えたが、不安視する向きは少なくない。「岡野前会長は9月に経営から退く時に『一切、関与しない』と宣言した」と有國氏は強調した。

 有國氏の本気度は、創業家およびファミリー企業から488億円を全額回収できるかどうかで明らかになる。

BusinessJournal編集部

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