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森友問題、国が値引き理由を大変更…財務省の妨害行為発覚、会計検査院が異例の再検査

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 この変更論は、すでに6月16日付読売新聞のコラム「補助線」で、調査研究本部の小田尚客員研究員が、「小学校開校の遅れという訴訟リスクを恐れ、値引きを飲まざるを得なかった、これが問題の本質ではないか」と国の姿勢を代弁する報道を行っている。麻生財務相も国会答弁で同様のことを話している。しかし森友問題の核心点に触れる重大事を正面から話すのではなく、こっそりと変更することは許されない。

 8億円もの値引きに対して、安倍晋三首相、麻生財務相、石井啓一国交相は、この政府の見解変更について国会で正式に発表を行っていない。秋の臨時国会では、事実に基づくこの点の追及が不可欠となろう。

嘘が暴かれる一歩手前にきている

「モリカケ問題は、もう飽きられた」といった声が聞こえてくる。しかし、最近の各種世論調査でも、国民の約75%が今もって納得していないという調査結果が発表されている。国会や会計検査院、司法の場で今後問われるべき課題について具体的にみたい。

(1)国は、改めて8億円の新たなごみがあったのか、なかったのかを明らかにすべき。

 2万トンのごみがなくとも、少しでもごみがあれば訴訟リスクを負うという説明だが、新たな埋設ごみが「ゼロ」であれば、そのリスクさえなくなる。値引きは、国有財産を不法に損なう行為となる。

 一方、2万トン説は、財務省の改ざん文書のなかに隠されていた有印公文書(※2)にも書かれていた。2万トン説の間違いを公式に認めることは、この有印公文書が虚偽だったことを認めることになる。有印公文書の虚偽作成は重罪である。秋の臨時国会では明確な事実認定が求められている。

(2)会計検査院は、次回の報告内容によっては、存在自体が問われる。

 国の財務会計の目付け役である会計検査院は昨年11月22日、参議院の国会決議に基づき報告書を発表した。それは財務省が改ざんした後の諸資料に基づいて作成されていた。要は、国は会計検査院に嘘の情報を伝え、それに基づき検査が行われた訳である。もし会計検査院が異議申し立てを行わなければ、国からコケにされたままであり、国の財務会計の番人役を果たすことはできない。国による会計検査院の検査行為への妨害行為は、それにとどまらない。詳細は後述するが、現在、会計検査院は改めて報告書を発表する準備をしているが、その点が注目される。

(3)地検特捜部が市民の告発の前に立ちはだかっている。巨悪を許すな。

 市民団体が、森友問題にかかわったと告発した全員を不起訴にした。「背任罪」と「公用文書毀棄罪等」で告発し、地検特捜部が一度は受理していた38人全員を、5月に不起訴発表した。しかし、財務官僚は国会にも会計検査院にも間違った情報を伝え、嘘をついてきた。検察だけに正直に話したということは考えられない。不起訴を決めた検察の会見内容からは、国の見解変更のストーリー通りに把握していたことが窺われる。

 この点は、告発した市民団体が検察審査会に審査申し立てを行い、審査会が「起訴相当」と判断することを求めている。検察審査会の判断を待つまでもなく、さまざまな嘘に向かい合わなければ、巨悪に立ち向かう検察特捜部の名が泣く。

 振り返って、関与した官僚への罰則、いわゆる行政罰は、最も重い佐川元理財局長でも、すでに辞職しているのに停職3カ月相当の処分である。その分の給与支払い分を退職金から減額されただけで、退職金は、ほぼそのまま受け取ることになる。まったく形式的な行政罰である。国有地の不当な払い下げや証拠隠滅を行い、さらに改ざんまで行って立憲国家を危うくした点に、国は居直っているのが現状である。そうしたなかで、ひとりの職員が「自死」している。森友問題の核心点であるごみの有無に加え、改ざん問題の事実解明がなおざりにされていることは、立憲国家としての崩壊の危機にあるといってよい。

会計検査院の中間報告

会計検査院院長

(1)中間報告の内容

 会計検査院が拳を振り上げるのは当然である。財務省は会計検査院に交渉情報は存在してないと報告し、改ざんした契約決裁文書を提出。決裁文書は300カ所が書き換えられ、隠していた文書は4000ページに上っていたのである。中間報告は今年6月19日、「本来、会計検査院がこのような発表を行うことはない」とわざわざ注釈をつけたうえで発表された。

 今、会計検査院では異例となる再報告書の作成に入っている。中間報告をみると、次のような記述がある。

「国会からの検査の要請を受けて行う検査の過程において、改ざんされた決裁文書が提出されるなどの極めて異例な行為が行われていたことなどを踏まえ」
「近畿財務局、大阪航空局等において会計実地検査を行うなどして(中間報告をした)」

 さらに、「このような行為は、会計検査院法第26条の規定による要求」(※3)に違反した行為であり、「同法第31条第2項の懲戒処分要求の必要性も検討する」と記載していた。財務省と国交省が会計検査院の報告書発表の前日に会計検査院に情報を明らかにしたという、情報公開遅延行為があったことなども指摘されている。

 中間報告では、誰がどのように動いたかを確定した上で懲戒処分を要求するとある。いよいよ会計検査院も、あとに引けないという姿勢だ。

 国有財産を不当に格安で払い下げるという行為の真相が、批判を浴びながら今もって明らかにされていないのは、与党が国会で圧倒的多数を占めるなかで、国会の役割を忘れて公正さを欠如し、事実解明に蓋をし、野党の追及の足を引っ張ってきたからである。

 しかし、自民党の総裁選で安倍首相の対立候補となった石破茂氏でさえ、暗にモリカケ問題を念頭に「正直、公平」を訴え、地方票の約半数を獲得した。身内の与党ですら批判の声が上がっている。会計検査院が森友における政府の不正行為をどこまでチェックした報告書を出すのかは、大きく注目されている。日本の立憲民主主義の行方がかかる報告書といえる。

(2)会計検査院は、検査報告への妨害行為の実態公表と責任の追及を

 会計検査院の本件検査にあたっての課題は、もちろん国有財産の払い下げが法に則り適正に行われたかにある。ところが、その検査に入った会計検査院の検査に立ちはだかったのが、財務省や国交省などが行った下記の隠ぺい行為である。

<1>国会論議で情報公開を請求したことに対して、「折衝記録は廃棄した」と説明。しかし、実際は存在していた。

<2>決裁文書は300カ所にわたって書き換え・改ざんが行われていた。

<3>廃棄したはずの交渉文書や前出の産廃マニフェスト、廃棄物管理票など4000ページにわたる追加文書も1年が経過して明らかになった。

 政府は会計検査院の調査において、このような事実隠しを行った。これらの実態、誰の指示のもとに、どのような隠ぺい工作が行われたのか、その狙いと責任を明らかにしたい。さらには次に中間報告でも明らかになった以下の点も明らかにされるべきである。

<4>省庁間でのけん制。具体的には、財務省による埋設ごみの存在量や値引き額のかさ上げ、国交省大阪航空局への指示やお願い。つまり、根拠のない値引きが財務省と国交省の間で暗黙の前提となっていた。いわば省庁間の談合の下で格安払い下げが行われた。

<5>会計検査院は報告書の発表に先立ち、関係省庁へ事前にその内容を伝え、財務省と国交省は金額を隠して処理量を記載するよう依頼し、実際に変更していた。
 
 これらを受けて浮かび上がってくる問題は、会計検査院の検査行為に対して隠ぺい工作が行われるとともに、省庁をまたにかけて会計検査院の検査に対しても干渉するという驚くべき妨害行為があったという事実である。もしこれだけ、違法な妨害を受けたにもかかわらず、この点を明らかにすることに一寸でも妥協があれば、年100兆円の国家予算の検査の有効性に疑念が持たれ、会計検査院の存在自体問われることになる。国民の期待は強い。

市民団体による会計検査院への情報提供

 隠ぺい工作によって覆い隠そうとした森友学園の違法な払い下げの実態を、会計検査院は再報告で余すところなく暴き出すべきである。すでに、筆者を含む市民団体の調査によって、新たな埋設ごみが「ゼロ」だったことは、証拠事実と共に確認されている。その内容は一冊の本にまとめ『森友 ごみは無いのに、なぜ、8億円の値引き』(イマジン出版)として筆者は上梓した。そこでこの本を含め、諸資料を会計検査院に提供した。

(1)産廃マニフェストの情報が欠落した、会計検査院の前回の報告

 筆者は、森友問題の核心点に迫るカギとなる最重要情報は、森友学園と契約した2つの建設事業者がそれぞれ報告した2つの産廃マニフェストであると考える。また、大阪航空局や近畿財務局が、森友学園が貸借を受け校舎建設に入った用地にどれだけの埋設ごみがあるか、それを撤去するのにどれだけの費用がかかるのかを何度も調査していたという事実がある。

表2:埋設ごみに関係する主な経過
 
1974年 伊丹空港周辺にかかわる騒音対策区域として指定。
2009~12年 大阪航空局において、土壌汚染調査を実施(以下、※印)
※2010年1月 「平成21年度 大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務 報告書(0A301)」
※2012年2月 「平成23年度大阪国際空港場外用地(OA301)土壌汚染深度方向調査業務 報告書 」
2010年3月 豊中市隣接地を公園用地として購入(14億2300万円)
2012年3月 大阪音楽大学、購入希望(約7億)
7月12日 近畿財務局、鑑定評価書:鑑定額9億300万円 埋設ごみの 撤去工事費用:8437万円
7月25日 大阪音楽大学が買い受け断念
2015年5月29日 森友学園への貸し付け契約「有償貸し付け契約書」締結
7~12月 土壌改良(埋設ごみ・除染)工事、中道組が請負い、3mまでの深さの埋設ごみ撤去と重金属汚染の除染。代金1億3176万円、内埋設ごみの撤去費用は9364万円
2016年~ 藤原工業が校舎建設請負い、建設工事に入る
3月11日 3m以深に新たな埋設ごみが見つかる。
4月14日 大阪航空局から近畿財務局に、地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり(約8億1900万円)を報告。
5月2日 中道組が産廃マニフェスト(撤去産廃量953トン)を豊中市に提出
6月20日 近畿財務局にて売買契約締結:契約金額(1億3400万円)
2017年
5月19日 藤原工業が産廃マニフェスト(産廃量194トン)を豊中市に報告
7月7日 市民団体が産廃マニフェストの内容を報告
11月22日 会計検査院が検査結果報告    

 この土地を調査した調査データをあたれば、もともとどれだけの埋設ごみがあったのかはわかる。そのため、国による隠ぺいがなければ、核心点である新たなごみの有無は、下記のような整理で簡単にわかる(表2参照)。

・もともと住宅地であった場所を大阪航空局が関西空港の騒音対策のために買収した。

・買収後、広大な土地の売却に備えて、大阪航空局は用地の地下のごみの状況を何度も調査している。調査の結果、地表より3mより浅い部分には68カ所に上りごみが集中していることをレーザー調査で把握し(※4)、3m以深の地層は堆積層であり、地層的に埋設ごみがないことも報告されている(※5)。

・一方、ごみの撤去にどれだけのお金がかかるかも、近畿財務局が鑑定書を作成している(※6)。したがってこの用地に、もともと建設工事にあたり邪魔になる埋設ごみがどれだけの量が存在するのか、その撤去にどれだけの費用が掛かるのかは、国が調査していた。

・森友学園が校舎建設用地として借り受け、中道組がその土地から埋設ごみを撤去しているが、その撤去量は産廃マニフェストに記載されており、どれだけ掘り出したのかわかる。したがって、もともとあった量と掘り出した量を比較すれば、埋設ごみの掘削割合がわかり、さらに埋設ごみが新たに掘り出される可能性があるかどうかもわかる。

・そして、校舎建設にかかわった藤原工業の産廃マニフェストからは、新たに掘削した土砂の中に埋設ごみが混入していれば、その産廃マニフェストから確認できるからである。

 産廃マニフェストのひとつは、2015年7月から12月にかけ、森友学園の校舎建設前に中道組が請け負った土壌改良工事のなかで撤去した埋設ごみを報告した産廃マニフェストであり、ここには953トン、約1000トンの埋設ごみを土壌改良工事の際に撤去したことが報告されていた。

 この撤去量は、過去に大阪航空局や近畿財務局が同土地を調査して確認したデータと近似し、約3mまでの盛り土層にある埋設ごみはすべて撤去したと考えられた。一方、大阪航空局はその地下深部である3m以深に2万トンの埋設ごみがあると主張してきたが、過去の同土地の調査データからも、3m以深は古代からの浸食作用によって堆積された堆積層となり、そのような地層に埋設ごみがあることは考えられない。したがって科学的には、国が2万トンあるとしてきたことは明らかにフェイクであった。

 実際に建設工事を行った藤原工業の産廃マニフェストには194トンと記載されており、それも埋設ごみではなく、地上の建設物の建設に伴い発生した新築系混合廃棄物であった。つまり埋設ごみはゼロであった。

 この2つの産廃マニフェストを筆者らは、豊中市への情報公開請求で入手した。廃棄物処理法では、事業者は事業活動に基づき排出された産廃ごみを、免許を持つ運送業者に委託して処理業者まで運び処理し、その残渣等を処分業者に委託して所定の処分場で埋め立て処分しなければならないとなっている。それぞれの段階で交付票を発行し、産廃の種類、重量ごとに記載した写しを元請け業者が集約し、それを都道府県や政令指定都市、もしくは豊中市のような中核都市に報告する必要がある。これが不法投棄を防ぐ産廃マニフェストであり、違反すれば刑事罰が科せられる仕組みである。

 その産廃マニフェストに森友学園での埋設ごみがどのように取り扱われているかはっきりと記載され、それを入手し分析することで、新たな埋設ごみがゼロであったことがわかっていた。

 昨年、会計検査院による検査結果の報告前に、会見検査院を筆者らが訪ね情報交換した時には、会計検査院の検査は該当する省庁だけではなく関連する自治体も検査し、各種報道も確認すると語っていたが、報告書のなかには産廃マニフェストについては、一行の記載もなかった。

 これらの情報や分析は、昨年の時点で財務省と国交省が会計検査院に隠していた情報ではなく、すでに明らかになっていた情報や、自治体への情報公開で明らかになった情報などであり、会見検査院は明らかに見落としていた。

(2)会計検査院に情報提供

 筆者と市民団体は、会計検査院への情報提供をこの間、2度(7月18日と9月10日)にわたり行ってきた。前述のとおり会計検査院の昨年度の報告は、財務省と国交省による隠ぺい行為のなかでの報告であり、圧力を受けながらも、8億円の値引きの根拠を「根拠不十分」と断罪し、大きく報じられた。その意味では評価できる発表だったといえる。

 しかし報告書の最後の所見では、「必ずしも適正と認められない」「今後は適正に行うように」というかたちで今後に下駄を預ける内容にとどまっていた。格安払い下げ契約は違法であり間違っていたと明確に書けなかったのは、最も重要な情報である産廃マニフェストの内容を欠落させたせいであるとみている。そこで筆者らは7月18日に会計検査院を訪問した際、前出の拙著を資料として渡し、参考にするように求め、産廃マニフェストについての説明も行った。

会計検査院に提供した『森友 ごみは無いのに、なぜ、8億円の値引き』

 筆者は廃棄物資源循環学会の会員であり、廃棄物については知識を有し、一方、一級建築士ら専門家も参加し、会計検査院への情報提供とともに提案を行った。
 
 日本はこれまで安倍一強体制の下で立憲国家としてのルールは無視され、森友のような公有財産の不法な払い下げさえ事実確定されず、現政府はごまかしに走っている。その一方で、財務省では麻生財務相をはじめ文書の改ざんを進めた責任者が、何もなかったように事務次官や主計局長などに就任している。

 森友問題は、年100兆円の予算規模である日本の問題としては、ほんの小さな事例であるかもしれない。しかし、新たな埋設ごみがゼロであったならば、格安払い下げは不法行為であり、この点をさらに暴き立てることは、権力を監視するジャーナリズム、そして国会、司法の役割であろう。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト) 

【注釈】
※1:この産廃ごみ100分の1は、昨年7月7日に筆者が市民団体の場を借りて発表していたが、国は年末12月13日にようやく認めた。
※2:有印公文書 「阪空補第17号 不動産鑑定評価について(依頼)」近畿財務局管財部 総括国有財産管理者殿 大阪航空局空港部 補償課作成 「地下埋設物撤去数量及び処理費用算出根拠について」
※3:会計検査院法第26条
「会計検査院は、検査上の必要により検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる。この場合において、帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出の求めを受け、又は質問され若しくは出頭の求めを受けたものは、これに応じなければならない」
※4:「平成21年度大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務 報告書(0A301)」「平成22年1月国土交通省大阪航空局―大和探索技術株式会社―作成 」
※5:「平成23年度大阪国際空港場外用地(0A301) 土壌汚染深度方向調査業務報告書」(12年2月)「国土交通省大阪航空局作成」
※6:「鑑定評価書」(12年7月、森井総合鑑定株式会社作成―近畿財務局委託―)

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