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阪神・金本監督、チーム内の不満分子が解任を直訴か…生え抜きにこだわり変革を潰す親会社

文=中村俊明/スポーツジャーナリスト
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“生え抜き”にこだわる親会社、なぜ矢野を起用?

 その一方で、現場レベルでは金本采配に対して疑問を投げる声があったという。

「なぜ明らかなイップスの藤浪晋太郎を、あれだけノックアウトされても使い続けるのかなど、一部の采配に疑問を呈する声がありました。今年は就任1、2年目のような競争力がチームから見られませんでした。さらに、手塩にかけて育てた高山俊や中谷将大、江越大賀といった選手が伸び悩んだのも大きい。金本さんは兄貴肌ではありますが、具体的な説明が苦手で、根性論で選手には厳しく接していました。それもあってか、選手に意図が伝わりにくかったという面があるかもしれません。一部のコーチにしか本心を見せないので、選手にしてみれば、監督が何を考えているのかわからないという怖さはあったはずです」(前出・球団関係者)

 今シーズンは、主力の高齢化やウィリン・ロサリオなど外国人選手の不振、上本博紀ら主力の離脱や、若手の伸び悩みという複数のマイナス要素が重なり、6月以降浮上のキッカケを掴めずにシーズンを終えた。

 今回のような監督交代騒動は、阪神にとって珍しいことではない。1984年にも監督とオーナーが同時交代したほか、リーグ優勝に導いた故星野仙一氏が健康上の理由で監督を辞任した際、後任人事で星野色を取り除くなど、親会社が強く意見を出すケースは昔から多くあった。

 今回の解任に関しても、“生え抜き”にこだわる親会社の意向が色濃く反映されているのではないかと、前出の球団関係者は指摘する。

「阪神は昔から、生え抜きかどうかを異常に気にする球団です。だから、“外様”であった金本さんを快く思っていなかったグループも存在しました。金本さんはコーチ陣をも自分の腹心で何人か外部から連れてきたこともあり、金本派ではないOBコーチは面白くなかったようです。先ほども述べたように、広島東洋カープから連れてきたコーチにしか心を開かなかったことに加え、選手からの不満も重なり、反分子が親会社に直訴したのではないかとの疑惑もあります。ただ、星野さん、野村(克也元監督)さん、金本さんもしかりですが、結局大きく球団を変えたのは純粋な生え抜きではないんです。それはファンですらわかっているのに、親会社はどこまで理解しているのか疑問です。金本さんだからこそ改革できて、実際に球団が変わりつつありました。いまだに現場レベルでは金本さんを惜しむ声があります」(同)

 新監督となった矢野も、もともとは中日ドラゴンズ出身で、純粋な生え抜きではない。では、なぜ阪神は矢野登用に踏み切ったのか。

「金本さんよりも矢野さんのほうが扱いやすいと判断したからではないでしょうか。両者ともに純粋な生え抜きではないという点が皮肉です。5年契約という報道も出ていますが、世間体を考えてのことで、成績が振るわなければ当然、早い段階での解任もあるでしょう。そして、『やはり生え抜きでないと』と、したり顔で次期監督に本命を持ってくる――。親会社は、そういうシナリオを描いているのではないかと思います」(同)

 内部からこのような声も出ているが、果たして矢野政権はどのような道を歩むのだろうか。
(文=中村俊明/スポーツジャーナリスト)

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