NEW
木村隆志「現代放送のミカタ」

なぜ『下町ロケット』の視聴率は意外に低かったのか…内容以上に称えられるべきTBSの試み

【この記事のキーワード】

, , ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
日曜劇場『下町ロケット』|TBSテレビ」より
 今秋、視聴率で本命視されていた『下町ロケット』(TBS系)の第1話が13.9%(ビデオリサーチ、関東地区/以下同)に留まり、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)15.0%、『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)14.2%の後塵を拝した。


 同じ池井戸潤原作の『日曜劇場』と比較しても、『陸王』14.7%、『下町ロケット』前シリーズ16.1%、『ルーズヴェルト・ゲーム』14.1%、『半沢直樹』19.4%よりも低く、業界内では驚きの声をあげる人もいる。

 もちろん視聴率は指標のひとつにすぎないが、ネット上の声が賛否両論に分かれているのも事実。「ライバルの妨害で大ピンチに陥るが、仲間が一丸となって勝利する」という必勝パターンが飽きられ始めているのだろうか。

『下町ロケット』の「看板に偽りあり」


 毎回同じパターンだとわかっていても、その爽快感を求めて、つい見てしまう……そんなファンに向けた確信犯的な予定調和の脚本は、今シリーズも健在。

 初回から、佃航平社長(阿部寛)率いる佃製作所は、帝国重工のロケット開発計画が終了、大口顧客からの取引削減、経理部長・殿村直弘(立川談春)の父親が倒れて家業の手伝いで帰郷などのピンチに襲われたが、トランスミッション開発という新たな夢を見いだし、苦労しながらもコンペで大手企業に勝利した。

 演出面でも、劇画のような感情むき出しの演技、正面の顔アップを多用したカメラワーク、松平定知の仰々しいナレーションなど、前シリーズから大きな変化なし。ファンには「熱い」、そうでない人には「暑苦しい」と感じる世界観をつくり上げていた。

 ただ、『下町ロケット』が重きを置いているのは勧善懲悪ではなく、チームの団結。悪はいるが根っからの巨悪ではなく、それぞれの立場に基づく小悪であり、「友情・努力・勝利」という「週刊少年ジャンプ」(集英社)的な展開のアシスト役にすぎない。同じワンパターンを楽しむ作風でも、時代劇のような勧善懲悪が好きな人より、「週刊少年ジャンプ」を読んで育った人にウケる作風となっている。

 見せたいのがチームの団結である以上、「ロケットの話」にこだわる必要はない。実際、「ロケットの話」はお飾り程度であり、前シリーズも後半は「人工心臓弁・ガウディの話」だった。つまり、『下町ロケット』というタイトルは「看板に偽りあり」の状態となっている。

 原作者もドラマスタッフも、佃製作所のメンバーとやり取りに愛着があるのだろうが、「ほぼなんでもアリ」の状態を見て、否定的な声をあげる人の気持ちもわかるのではないか。

池井戸潤と小学館を喜ばせ、視聴率も獲得


 ひとつ見逃せないのは、『下町ロケット』のファンが、単にその世界観が好きというだけでなく、「手間を惜しまない制作姿勢に他作との違いを感じ、支持している」こと。

 同作は、まるでキャベツの千切りのように小刻みなカット割り、帝国重工など大企業の描写、大規模な地方ロケ、大量のエキストラなど、あらゆるところに手間をかけている。

 その労力と実働時間は、ドラマ業界にも忍び寄る働き方改革とは真逆のスタンスであり、制作サイドの熱さが映像に表れているのだ。スタッフやキャストの熱さがスケール感につながっているから、「自分の仕事に熱く向き合っている人ほど『下町ロケット』に惹かれる」という現象が見られる。

 また、メディア全体を活性化させるビジネススキームも見逃せない。前シリーズの後半・ガウディ編は、「朝日新聞での連載を経て、小学館から小説が発売され、ドラマが放送される」という、流れるようなメディアミックスが見られた。

『話しかけなくていい! 会話術』

「話がうまい人」になる必要はない。無言でも、ひと言でも、人に好かれるための画期的コミュニケーション術!

amazon_associate_logo.jpg

『嵐の愛され力~幸せな人生をつかむ36のポイント~』

嵐に学ぶ人から好かれる、人を好きになれる人間力の磨き方。明日から使える36個の“○○力”。年齢・性別を問わずマスターできる。

amazon_associate_logo.jpg

なぜ『下町ロケット』の視聴率は意外に低かったのか…内容以上に称えられるべきTBSの試みのページです。ビジネスジャーナルは、連載、TBSドラマ下町ロケット視聴率の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

BJ おすすめ記事