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武神健之「優良健康文化をつくるために」

がん、免疫療法ブームに踊らされ「死なないため」に…やってはいけない病院選びの注意点

文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

 私の個人的な印象ですが、免疫療法をはじめ標準的治療とは異なった治療方針を提唱している医療機関の多くは、その治療を受ける患者さんには非常に優しく接します。しかし、その治療を受けない人、受けなくなった人には興味を示してくれないようです。

 あなた(もしくは、ご家族)が仮にがんになったとき、その医療機関は、その治療法が効かなくなったときや終わったときでも、あなたの(家族の)最後を看取ってくれますか?

 私の経験上、勧められる医療機関の答えはYesが多く、勧められない医療機関はNoがほとんどでしょう。

がん治療の基本:正当法の標準的治療を

 
 あなた(もしくは、ご家族)が仮にがんになったとき、がんは克服されていない病気だからこそ、私は正当法の標準的治療を勧めます。標準的治療とは、ほとんどの場合、統計的に一番結果の出ているもので、効果が期待されるものです。いろいろな眉唾的な治療方法に心が動くこともあるかと思いますが、その時は、本当に効く治療法ならば大きな資本の製薬会社が放っておくわけがないという考えを常に持ち、冷静に判断してください。

 不幸にも治療の甲斐なく、がん患者としての終末期を考えなくてはならない状況においては、本人やご家族の納得や満足のためにはどのように人生のフィナーレを迎え得ることができるのか。そのような気持ちを大切にしてくれる医療機関と出会えることを切に願います。

 実は、そのような医療機関はあなたの近くにたくさんあります。その多くは、普通の街の医療機関でしょう。ただ見えていないだけ、気がついていないだけです。免疫療法というブームの治療を追い求めるよりも、そのような医療機関探しこそ、大切なのではないかと思ってしまう今日この頃です。
(文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事)

●働く人のがんについて

 日本人男性の62%(2人に1人)、女性の47%(2人に1人)が、一生のうち一度はがんに罹患します(国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計)。そして、がん患者の約3人に1人は働いている世代の人です。

 しかしながら病気を抱える従業員に働く意欲や能力があっても、治療と仕事の両立を支援する環境が十分に整っておらず、就業を継続したり、休職後に復職することが困難な状況にあります。がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思いますか? そう思うは27.9%、そうは思わないと答えた人が64.5%でした(平成29年内閣府 がん対策に関する世論調査)。

 一方、医療技術の進歩により、これまで予後不良とされてきた病気の生存率が向上しています。結果、治療をしながら仕事を続けることを希望する従業員のニーズが高くなってきています。このような中、最近はがん患者の方の就業継続の問題がクローズアップされています。

 国もがん患者が働き続けるための支援のガイドライン「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を作成しました。しかし、がん診断後、勤務者の34%が依願退職か解雇されて、自営業等の者の17%が廃業しているようです。(2013がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査)。

<データ元>
国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計

2013がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査 報告書

平成29年内閣府政府広報室 がん対策に関する世論調査の概要

厚生労働省 事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン

武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業等で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行い、働く人のココロとカラダの健康管理をサポートしている。著書に『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書―上司のための「みる・きく・はなす」技術 』(きずな出版)、『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣 』(産学社)、共著に『産業医・労働安全衛生担当者のためのストレスチェック制度対策まるわかり』(中外医学社)などがある

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