75歳以上の運転免許保有者500万人の3割が認知機能低下の疑い…検査体制の遅れが深刻化


 以前から、高齢者講習などは全国各地の自動車教習所が委託を受けて実施している。改正道路交通法施行後は、これに認知機能検査(臨時も含む)や臨時高齢者講習が加わり、受け入れ体制に限界がある自動車教習所では予約が取りにくい状況が生まれている。

 たとえば、千葉県では県内57カ所の自動車教習所で認知機能検査を実施しており、その平均受講待ち期間は、9月6日時点で5.7週間(約1カ月半)だ。もっとも待ち期間が長いところが、前述の角田さんが連絡した京葉自動車教習所で15週間(約4カ月)。同じ稲毛区にある稲毛自動車教習所も13週間(約3カ月)と待ち期間は長い。


 京葉自動車教習所の場合、近隣に高齢者が多く住んでおり、そもそも検査希望者が多い上、原則として週のうち平日の2日間しか受け入れていないことが待ち期間の長期化につながっているという。

 ただ、こうした問題は同地区に限った話ではない。同じ千葉県内でも四街道市のソフィアドライビングスクール四街道は14週間待ち、我孫子市の我孫子自動車教習所や佐倉市の佐倉自動車学校なども13週間待ちだ。こうした現象は日本全国至るところで見られ、高齢ドライバーの数に検査を行うスタッフの数や検査体制がまったく追いついていないのだ。

 警察庁は委託先の自動車教習所に負担が集中しないように、警察の施設で高齢者講習を直接実施するなどの取り組みを徐々に開始しているが、問題解決には時間がかかりそうだ。

 認知症の高齢ドライバーによる悲惨な事故を根絶するためには、今後、教習所や警察の施設以外でも認知機能検査や高齢者講習を実施できるような体制を構築する必要があるだろう。
(文=及川知晃/ジャーナリスト)

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