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日本のモノづくり現場で求められる「FOA」という考え方とは?

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※画像:『日本版 インダストリー4.X 日本の強みを活かすIoT革命』(奥雅春著、ダイヤモンド社刊)

 2011年にドイツの産官共同プロジェクトが提唱し、その後世界を席巻しているプロジェクト「Industrie4.0(第4次産業革命)」。これは、それ自体が目標として定められた「革命」でありながら、注目度の高い新たな産業高度化の概念だ。

 その中核にあるのは、IoTに代表されるITの活用だが、日本の製造業はまだこの潮流に対応しきれていないのが実情といえる。

 『日本版 インダストリー4.X 日本の強みを活かすIoT革命』(奥雅春著、ダイヤモンド社刊)は、現場の“事実情報”に根差した、人や組織のアジリティを高める IoT活用のコンセプトを提言し、その具体的なシステム展開である「FOA(Flow Oriented Approach)」を解説した一冊だ。

 「FOA」とは、現場のコトバをベースに、製造現場で発生する生データに背景や説明情報を加えることで、意味のあるメッセージとして即座に“データ”を“情報”化し、共有する仕組みだ。

 この現場発のIT論は、日本の製造業の強みを活かしながら、デジタル・ビジネス・アジリティ(DBA)を向上させる一手となる考え方だ。その一部を紹介していこう。

■「現場の事実情報」を統一した枠組みで切り出す

 「FOA」のシステムの大きな特徴は、まず“データ”ではなく“データを統合した情報”に着眼している点だ。

 ものづくりの現場には、性質の異なる2つの情報の流れがある。一つは、商品や製品の設計図面や製品仕様書、生産計画やリソース配分、販売活動まで含めた「設計情報」。もう一つは、IT化の側面からはあまり議論されることのなかった「事実情報」の流れである。

 「事実情報」は、現場で発生しているさまざまな事象のうち、人のアクションをもたらすという点で重要視されるもの(人の行動や思考に影響を与える)、つまり「有意な」事象を指す。

 たとえば、「○月○日○時○分に、第一工場の第一ラインで、Aさんが、Bという製品につかう金属棒を、自動機Cを用いてカットした。結果、加工された金属棒は長さ7.53cmになったが、これは良品基準7.50±0.02cmを上回っていたため、不良品となった」といったものが「事実情報」だ。

 事実情報は、設計情報の良い流れを作るにあたって極めて重要である。

 そして、その情報は局所的な「現場のコトバ」を使って伝達・共有される。「現場のコトバ」が、各工場などの現場単位や経営で重要視されるKPIとズレてくると、全体のオペレーションに支障が生まれる。

 そこで、無数にある現場のデータを「事実情報」という統一的な枠組みで切り出すアプローチが必要になる。これが「FOA」の基本的な概念だ。

■「ファウンテイン方式」によるシステム構築

 ものづくり現場においては、すでに多くの現場でFA(Factory Automation)システムやITシステム化が進み、定型業務領域を中心に飛躍的な進歩が遂げられている。

 定型業務を支えるシステム領域は、ものづくり現場における「規則的な変化を捉えて、特定の目的・仕様・ユーザニーズに沿ってシステム化の要件を定義し、システム化してきた領域」のことを指す。

 たとえば、製造業におけるERP、 CAD、CAM、Scheduler、BOMや、現場管理などのシステムはこれに当たる。

 これに対して、「事実情報システム」が捉える情報の領域は、従来のITシステムが捉えている情報領域よりもさらに“現場に近い”生の情報を取り扱う。実は、いままでこの“現場に近い”生の情報を有効活用する明確な手段や方法論が整理されていなかったと著者は指摘する。

 IoT領域の現場系ITシステムにユーザが期待する要件は、以下の3つだ。

1. 必要なところからスモールスタートし、短期間で容易にシステム設計・開発ができること
2. 臨機応変な現場活動の中で、ユーザ指向に基づいて自在にシステムを操れること
3. 現場の小刻みな変化や現場のニーズを、即座にアドオン対応できるシステムであること

 この要件を満たす「多様なデータ取得機能」、「現場のさまざまなデータを統合したフレームであらわされる“意味ありメッセージ”の生成機能」、「メッセージ共有機能」という3つの機能を有するのが、著者の提唱するFOAシステム(事実情報システム)だ。

 従来のシステム構築アプローチは、IT化の対象となる全体を設計し、要件定義をしっかり作り上げ、 それに基づきデータを集めて構造化し、個別のアプリケーションやソリュー ションを設計していくというアプローチだった。この開発方式はウォーターフォール方式と呼ばれ、システムの種類を問わず定着している。

 その方式では、要件定義がポイントになる。合目的的な機能要件の定義が優先され、現場では意味のある事実情報であっても機能要件に直接関係しないとみなされた情報は欠落していく傾向がある。

 明確な要件定義から始まるウォーターフォール方式のアプローチに対し、FOAシステムはユーザの現場活動が必要とする事実情報を、現場データから作り出すというアプローチ――「ファウンテイン方式」をとる。

 詳細は本書をご一読いただきたいが、「ファウンテイン方式」ではかなり短期な構築が期待できるという。生産や生産技術に携わるエンジニアや経営幹部、IT部門でIoT領域を担当する人間ならば大いに参考になる一冊だ。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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