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成馬零一「ドラマ探訪記」

フジ『結婚相手は抽選で』がおもしろい…「抽選見合い結婚法」で尊厳を傷つけられる男女の悲喜劇

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結婚相手は抽選で | 東海テレビ」より
 ドラマ評論を生業にしているため、放送されているドラマは一通り見るようにしているのだが、いまだにどう評価していいのかわからないのが、フジテレビ系で土曜23時40分から放送されている「オトナの土ドラ」枠である。


 この枠はもともと、尖った若者向けのドラマを放送していたのだが、2016年4月から「オトナの土ドラ」という名称に変わった。

 ドラマ制作を担っているのは、フジテレビ系列の東海テレビ。最近では、『ヤクザと憲法』や『人生フルーツ』といったドキュメンタリーが高く評価されているテレビ局だが、かつては東海テレビといえば昼ドラで有名だった。

 特に00年代に放送された『真珠夫人』や『牡丹と薔薇』(共にフジテレビ系)といった、中島丈博が脚本を手がけた昼ドラは、エキセントリックな登場人物が骨肉の愛憎劇を繰り広げる姿が過剰すぎて笑えると評判を呼んだ。東海テレビは昼ドラブームを牽引したが、視聴率の低下により、16年にフジテレビの昼ドラ枠自体が終了してしまう。

 その後、この「オトナの土ドラ」に昼ドラ時代のテイストが受け継がれたのだが、明確な方向性が打ち出せず迷走しているというのが正直な感想だ。

 人間の中にあるドロドロとした愛憎を題材にしたドラマが多く、それ自体は昼ドラ的である。しかし、笑えるレベルまで昇華されていない。帯ドラマではないため、連ドラならではのダイナミズムが生まれず、泥臭くて安っぽい演出の古臭い作品が続いていて、正直、最終話まで楽しめた作品はほとんどない。

 だが、ときどき気になる作品が登場する。それは、地方都市で働く公務員を主人公にした『とげ 小市民 倉永晴之の逆襲』や、未来からやってきたタイムトラベラーを保護する法務省戸籍監理課の役人を主人公にした『リテイク 時をかける想い』だ。

 特に、後者はSFドラマである。遺伝子操作によるクローン技術を題材にした海外ドラマ『Orphan Black』をリメイクした『オーファン・ブラック~七つの遺伝子~』もこの枠でつくられたことがあるのだが、こういったSFテイストの作品は、東海テレビの泥臭い演出とのケミストリーによって「大人の土ドラ」でしかつくれない独自の路線になるのではないか、とひそかに期待していた。

現代の世相を反映する異色作


 そんななか、久々に現れたSFテイストの作品で、「ついに、この枠が当たりを引いた!」という手応えを感じるのが、現在放送中の『結婚相手は抽選で』である。

 物語の舞台は、「抽選見合い結婚法」という法律が制定された、もうひとつの日本。この制度は、独身で子どもがいない25~39歳までの男女を対象に、同じ地域で暮らす対象年齢プラスマイナス5歳の相手とのお見合いを抽選で行うというもの。相手を好きになれない場合は二度断ることができるが、三度断ると「テロ対策活動後方支援隊」(通称・テロ撲滅隊)に2年間従事しないといけなくなる。

 本作は、そんな「抽選お見合い制度」が社会に与える変化と、翻弄される男女の悲喜こもごもを描いた群像劇だ。

 原作は、10年に刊行された垣谷美雨の同名小説(双葉社)。文庫版に掲載されたジャーナリスト・白河桃子の解説によると、本作が連載された09年は婚活ブームの真っ只中で、もしも今の婚活ブームが続けばこんな未来が待っていてもおかしくないと、当時感じたという。

 原作とドラマ版では9年のタイムラグがあるのだが、おもしろいのは、この時差が作風の違いに表れていることで、ドラマ版には小説の設定を生かした上で現代的な問いかけが加えられている。

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