山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

マツダ、欧州ディーゼル車から撤退すべきだ…ロータリー・エンジン過信で経営危機の二の舞

マツダ・SKYACTIV-D(「Wikipedia」より/CEFICEFI)

 ヨーロッパの環境規制強化を受け、日本の自動車メーカーは大部分がディーゼル車市場から相次いで撤退を決めた。そんななか、「独り、わが道を行く」としているのがマツダだ。マツダは自社のディーゼル・エンジンの優位性に自信を示して、引き続きヨーロッパ市場で戦っていく意向だ。しかし、マツダのこの「逆張り」戦略は、果たして「人の行く裏に道あり花の山」として結実するのだろうか。

 ヨーロッパのディーゼル車市場を「プロダクト・ライフ・サイクル・セオリー」で俯瞰すると、マツダの先行きの厳しさの構造が理解できる。

マツダ以外がヨーロッパから撤退したワケ

 10月半ば、スズキが年内をメドにディーゼル車の欧州販売から撤退すると報じられた。それ以前から日本車各メーカーの同様の決定が五月雨式に伝えられていた。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、SUBARU(スバル)はすでにヨーロッパでのディーゼル車の販売縮小に動いており、電気自動車(EV)など環境車に経営資源を集中するとしていたし、三菱自動車工業も英国やドイツなど主要国でディーゼル乗用車の販売を順次終える方針を発表していた。

 日本車7社のうち、最後のマツダの方針に注目が集まっていたが、マツダの選択は意外なことに、「ヨーロッパのディーゼル車市場でまだまだがんばる」というものだった。

 スズキの撤退が報じられた少し前の10月2日、マツダは「技術説明会2018」を開催した。その席上で今後のディーゼルの展望について、マツダの藤原清志副社長(研究開発部門も統括)は次のように述べた。

「ディーゼルは今後も諦めずに開発していくつもりで、まだまだ将来的に可能性があると思っています」

 このコメントは、ヨーロッパ市場だけを意識したものではなかった。

「その理由は2つあって、1つは燃料が低価格の軽油であること。もう1つはトルク(エンジンのねじり力)が大きいので、(車体が重い)SUVのクルマなどに適しているからです。NOx(窒素酸化物)をさらに減らしていくという課題はありますが、ハイブリッドの電動化をプラスすることで、さらにディーゼルの良さを追求できると考えます」(同)

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
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