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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

未完成の新築マンション、モデルルームだけで購入決定は危険…巨額販売費用が価格に上乗せ

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 消費者は、販売センターにある完成予想模型やディスプレイ上で完成した場合のCG(コンピューターグラフィックス)などを見て部屋の位置や、そこからの眺望を「おおよそ」把握するしか方法がない。

 今どきの買い物で、こんなに情報の非対称性がある売り物も少ない。現代では何を買うにしてもネット検索でじっくりと品定めができ、販売価格も複数の店舗やサイトをチェックして、自分が納得できた金額と販売先から購入することができる。

 ところが住宅に限っては、戸建て住宅はともかく、分譲マンションのほとんどが、いわゆる「青田売り」という方法で売られている。実は先進国のなかで住宅を「青田売り」で売っている国は日本だけだ。欧米諸国などは建物が完成してから、消費者がじっくり確認して買うことが当たり前だ。日本ではなぜ、こんなにお高い買い物を、消費者は唯々諾々と「おおよそ」の判断で買ってしまうのだろうか。

 デベロッパーが「青田売り」をしたいのは当然だ。マンションは土地を仕入れてから、建物を建設し、竣工して消費者に引き渡すまで、1年半から2年、タワーマンションなどになると3年くらいかかる。
 
 その間にかかるコスト、つまり土地の購入代金、マンション建設中の建設コスト(建設代金は建物竣工までに何回かに分けてゼネコンに支払われる)、マンションを引き渡して販売代金を回収するまでの間の金利、モデルルームや販売員の人件費などの販売に関わるコストは膨大なものがある。
 
 これらの負担を少しでも和らげるために、「青田売り」を行っているのだ。たいていは、売買契約時に手付金を販売価格の10%から20%程度、建物竣工までの間に中間金として30%程度、そして建物竣工引渡し時点で残額を一括で支払わせる、といったものだ。
 
 デベロッパーとしては青田売りをすることで、投下した資金の一部を回収できれば、販売引渡しまでの期間中のもろもろの支出に対して発生する金利負担を軽減できる。マンション引き渡し時点までに地価が下がってしまっても、青田で契約しておけばその間のリスクを回避できる。

「青田売り」は単なるデベロッパー側の都合


 しかし、これは消費者にとってはあきらかな不平等契約だ。実際の建物ができる前に契約をしてしまうと、実際に引き渡される建物、自分の買った住戸、そして建物の出現によって出来上がる環境、全体の雰囲気といった「肌感覚」を含めたすべての取引を「おおよそ」で決めてしまうことになるからだ。

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