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ヤマダ電機“だけ”業績不振…不振の住宅事業に家電売り場を割き→空前の家電特需を逃す痛恨ミス

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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“一人負け”のヤマダ電機

 しかし、ヤマダ電機の家電販売は冴えない。18年4〜6月期の家電販売事業の売上高は前年同期比0.7%増(2645億円)にとどまった。同事業は同社の主力事業だが、全社売上高の伸び(1.0%増、3694億円)を下回り、家電が足を引っ張った格好だ。また、売上総利益が10.5%減と大きく落ち込み、利益を押し下げる大きな要因となった。

 こうしてみると、ヤマダ電機は“一人負け”の様相を呈している。なぜ不調なのか。理由のひとつとして、同社が採用している「脱・家電」戦略が裏目に出てしまったことが挙げられる。

 近年、アマゾンなどのインターネット通信販売事業者が台頭し、家電量販店の大きな脅威となっている。経済産業省によると、物販分野のうちネットを介して売買される比率を表す「EC化率」は、17年が5.8%だったが、そのなかでも家電のEC化率は極めて高く30.2%にも上っており、家電販売はネット通販と相性が良いことがわかる。家電のEC化率が高いのは、家電量販店自身のネット販売も含まれているためでもあるが、家電量販店以外で購入する人が増えていることも大きく影響しており、ネット通販事業者が家電量販店の大きな脅威になっていることがわかる。この分野において競争は急速に激化しているのだ。

 これに人口減などの要素が加わり、今後の家電市場は厳しい状況が待っている。その対策としてヤマダ電機は、脱・家電を推し進めている。ただ、これが現状はうまくいっておらず、後述する理由により家電販売までもが不振に陥ってしまったのだ。

 ヤマダ電機は10年代に入ってから住宅関連事業に力を入れ始めた。11年に住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収した。12年には住宅設備機器のハウステックホールディングスを買収し、ヤマダ電機の店舗内にショールームを設けるなどして家電との併売を狙った。13年に低価格住宅を販売するヤマダ・ウッドハウスを設立している。

 17年6月には、非家電製品を中心とした「インテリアリフォーム YAMADA 前橋店」を創業の地の群馬・前橋市にオープンした。家具やインテリア雑貨を主に扱い、リフォームと新築住宅の販売も行う。家電の扱いは極めて小さく、住宅に関わる商品を全面的に打ち出す体制を整えたかたちだ。家電に関しては、近くにある既存の家電量販店「テックランドNew前橋本店」で補完する。また、近くにヤマダグループが運営する住宅のモデルハウスもあり、三位一体で住宅分野の需要を取り込む考えだ。

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