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EDに画期的治療が始まる…根幹から再生、肌のしわ・たるみの修復医療を応用

文=編集部
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EDに画期的治療が始まる…根幹から再生、肌のしわ・たるみの修復医療を応用の画像1「Getty Images」より

 男性の深刻な悩みといえば、ED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)が挙げられる。睡眠を見直したり、食生活を変えたりと、生活習慣の改善に気を配っている人は多いだろう。しかし、生活習慣の見直しだけでED、AGAを本当に改善できるかというと、実のところは難しい。努力によっては効果が見込めることもあるが、重症の場合は、それだけでは追いつかないのが現実だ。

 日本泌尿器科学会専門医で、銀座ソラリアクリニックの特別顧問を務める古賀祥嗣医師に話を聞いた。

従来のED・AGA治療は万人に効果が見られるわけではない

「生活習慣の見直しと前後して、みなさんが検討するのは治療薬でしょう。ED治療薬を例にすると、効果は世界中の論文でその有用性が発表されていて、使用したED患者の70〜90%に効果が認められるとされていますが、実は治療薬はすべての人が使えるものではないのです」(古賀医師)

 基本的に、狭心症や心筋梗塞の薬を服用している人は、使用不可。いずれも血圧を下げる作用があって、一緒に飲むと危険だからと古賀医師は言葉を続ける。

「さらに、ED治療薬が誰にでも効くかというと、残念ながら全員に、というわけにはいきません。10〜30%のED患者には、効果が見られないこともあります」(同)

 そもそも薬剤は、投与し続けることが果たして本当にいいのか、という疑問も残る。現在、日本で使用可能なED治療薬は、「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3種類ある。これらは効果、改善が期待される一方、めまい、顔のほてり、頭痛などの副作用も懸念されるという。

「いずれにしても、副作用が出た場合は、どんなに軽度であっても、かかりつけの医師に相談したほうがいいでしょう。万人に効果があるわけではないことと、副作用に注意しなければならないという点では、AGA治療薬でも同じことがいえます」(同)

薬で効果が出ない人は、テストステロンの補充を

「生活習慣の改善がED、AGA打開の決定打にならず、治療薬も効果が見られないという場合は、治療薬と男性ホルモン(テストステロン)補充療法を併用することで、改善が見られるケースもあります。テストステロンは<男らしさ>を司るホルモンで、男性としての性的な魅力をアップし、<男の自信>に不可欠です。生殖機能に直結するホルモンのため、分泌が減少すれば、精力減退や勃起機能の低下を招くことは言うまでもありません。逆に、テストステロンが多ければ、ED、AGAになることは少ないと考えられます。そのため、テストステロンを外部からの投与で補充し、同時に治療薬を飲むことで、重度の症状も改善される可能性が高いのです」(同)

 ここまでは、一般的なメンズクリニックでよく試される治療方法だ。さらに新たな選択肢となるのが、古賀医師が取り組む幹細胞上清療法「SGF」によるED、AGA治療だ。

新時代の治療法「SGF」 ED・AGAの根幹治療が可能

「私は再生医療の分野に注目し、長く研究を重ねていましたが、細胞を培養する際に生成される上澄み液の中で、特にたんぱく質が多く含まれる乳歯歯髄幹細胞培養上清液、SGFを用いた修復医療に可能性を感じたのです。クリニックでは、しわ、たるみ、シミなど肌のトラブルに対して早くから修復医療を導入していますが、研究が進むにつれ、ED、AGAの治療効果が確認できたのです」(同)

 SGFによるED治療は、陰茎海綿体の内皮細胞を再生するため、勃起に必要な体の仕組み(eNOSの分泌)が根本的に改善される。また、根幹から血管内皮細胞が再生するため、勃起機能の回復が持続することも研究結果で明らかになっている。

 SGFとは、乳歯歯髄幹細胞を培養する際につくり出される培養上清液をいう。人体にある乳歯や永久歯の歯髄、骨髄、脂肪などの幹細胞を利用してつくられるが、細胞の種類により含まれる成分は異なる。とりわけ、乳歯歯髄細胞の培養上清液には多くのタンパク質が含まれることが報告されているという。

「勃起は、陰茎海綿体の血管内皮から一酸化窒素が放出されて、サイクリックGMPという物質が産生されて血管が拡張します。血管障害で内皮細胞が傷むと一酸化窒素が出にくくなり、勃起ができなくなります。治療では、陰茎海綿体の左右に1回ずつ計2ccのSGFを注射します。これによって根幹から血管内皮細胞が再生し、機能が回復します」

 注射には超微細な針を使用するため出血や痛みを伴わず、負担が少ない点も特長だという。

「また、AGA治療では<メドジェット>と呼ばれる銃のような形の治療器を使います。炭酸ガスのジェット噴射を利用してSGFを頭皮に浸透させるので、こちらも短時間の治療で痛みなどはありません」(同)

EDは万病のサイン、心筋梗塞や脳梗塞も

「私はEDを発症しているのであれば、すぐに治療を受けるべきだと考えています。詳しくは、拙著『20歳若返る デキる男のアンチエイジング』(イースト・プレス)でも触れていますが、EDを放置することは、ほかの生活習慣病を誘発することにつながります」(同)

 古賀医師の説明によると、EDでは動脈硬化が進んでいるため、ひいては心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まっていると考えていいという。実際に、EDの症状が現れた後に、血管に関係する「死に至る病」が発症するケースは少なくない。そのためEDは、自分が「これから病気を発症する可能性」、そして「すでに病気である可能性」を告げてくれるサインと考えたほうがいいのだ。

「さらに大事なのは、治療を行う際は対症療法だけに頼るのではなく、根治を目指すことです。これまで、EDを完全に治すことは困難と考えられていましたが、SGFがそれを可能にしているのです。SGFは、ほかにも肌トラブル、脳梗塞後遺障害、認知症の改善など幅広い効果が期待され、研究が進んでいます。なかでもED、AGAに改善効果が見られたため、多くの悩みを抱えた男性に新たな治療の選択肢として知ってもらえたらと思い、『20歳若返る』を上梓したのです」(同)

 再生医療が注目される昨今、SGFは「新アンチエイジング治療」のひとつとして注目される。もしかすると体内時計の針を巻き戻すことも夢ではなくなるかもしれない。
(文=編集部)

EDに画期的治療が始まる…根幹から再生、肌のしわ・たるみの修復医療を応用の画像3

●古賀祥嗣(こが・しょうじ)
江戸川病院、泌尿器科主任部長兼透析センター長、
移植再生医療センター長。
銀座ソラリアクリニック特別顧問。
医学博士。日本泌尿器科学会専門医・指導医。
日本透析学会専門医・指導医。
日本移植学会専門医。

BusinessJournal編集部

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