
大みそかに予定されていた、ボクシング元世界王者フロイド・メイウェザー・ジュニアとキックボクサー・那須川天心の対戦がキャンセルとなった。対戦発表直後のキャンセルという異常事態に、格闘技ファンは不信感を強めている。
対戦が発表されたのは11月5日。都内で行われた記者会見にメイウェザーと那須川が揃って登場。翌日には主催者の「RIZIN(ライジン)」が正式に2人の対戦カードを発表し、ファンの間でもルールなどをめぐって大きな関心を集めていた。
メイウェザーはこれまでの戦績を50戦50勝の無敗としており、史上初めて無敗で5階級制覇を成し遂げた伝説のボクサー。一方の那須川は2015年に16歳でRISEバンタム級ベルトを奪取するなど、「キックの神様がつくり上げた最高傑作」と呼ばれている天才ファイターだ。話題を集めるのも当然のカードだったが、7日にメイウェザーがインスタグラムでキャンセルを発表して、その詳細を明かしている。
メイウェザーの言い分を要約すると、当初は少数の富裕層に向けた“エキシビジョン”としての対戦を依頼されたという。記者会見のため来日したメイウェザーだったが、会見を前に突然、公式戦としての趣旨を示されて困惑。それでも会見に臨んだことをファンに謝罪しつつ、さまざまな決定が許可なく進められていたことについて「私自身も不意打ちを食らった」と不快感をあらわにした。
だが、異例のスピードキャンセルになったにもかかわらず、「想定内」と口にするファンは多い。インターネット上には、主催者側の落ち度を指摘する意見が相次ぎ、「格闘ジャンルやウェイトから見ても、おかしいカード。実現しても那須川が公開処刑に遭うだけだった」「常識的に考えて、メイウェザーが日本でガチ試合なんてしないでしょう。RIZINは何を考えていたのか」「ビッグマネーを生み出すメイウェザーに対してギャラを払えると思えないし、早いうちに中止になってよかった」「今回の件は、RIZINが選手やファンに不信感を与えただけ」といった声が溢れ返っている。
一方で、メイウェザーがこれまでに引き起こしてきた数々の悪行から、メイウェザーによるキャンセル発表について納得していない格闘ファンも多い。“伝説”と呼ばれるにふさわしい成績を持つものの、リング外では問題行動が目立ち、暴行による収監や税金滞納など醜聞には事欠かない。また宣伝のためにたびたびビッグマウスが飛び出し、大きな反感を買っているのも事実。そのため、今回のキャンセルという結末にも、「メイウェザーに踊らされた」と捉える声が見られた。
真相が明らかにされるかは定かでないが、今後の格闘技界のためにも、主催者側もメイウェザーも多くのファンが落胆している事実を真摯に受け止めてほしい。
(文=編集部)