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岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

ノーベル賞受賞で話題のオプジーボ、論文に3つの重大な疑義…がん免疫療法の“現実”

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 医薬品の許認可を担う米国食品医薬品局(FDA)も、審査期間の短縮を重視するあまり、厳密なデータをかつてほど要求しなくなっているともいわれています。そこで心配なのは、わずかな人数で試験しただけでは重大な副作用を見逃してしまうのではないかということです。

 ノーベル賞受賞で改めて話題になっているニボルマブについては、幸い582人もの患者を集めることができ、論文もめでたく有名専門誌に掲載されました【注2】。その結果を受けて、米国でも肺がん患者への使用が本年8月に認可されたとのことです。この薬で肺がんが治ったとされる患者が、テレビで連日のように紹介されたりしているのは、ご存じのとおりです。

「生存期間が従来の薬に比べて長かった」の意味

 しかし、この論文には3つの重大な疑義があります。まず、「生存期間が従来の薬に比べて長かった」ことが強調されているのですが、よく読んでみると、それぞれ平均生存時間は、

・この薬を使ったグループ: 12.2ヵ月
・従来の薬を使ったグループ:9.4ヵ月

と、わずか2.8カ月の差しかなかったことです。しかも2年後には、両グループ合わせて10人くらいの生存者しか残っていませんでした。

 第2に、比べた相手が問題でした。タキソテール(商品名)という従来型の薬だったのですが、有名であるにもかかわらず、延命効果がいまだ証明されていないという代物で、深刻な副作用も知られています【注3】。延命効果は本来、偽薬(プラセボ)と比べるべきものですが、都合のいい結果を導き出すための意図が働いていたと思われます。

 第3の問題は、論文に名を連ねた多数の研究者たちが、当の製薬企業から寄付金、旅費、講演料、株などを受け取っていたことでした。

 ほかにも、肺がんの研究者たちが注目している論文があと2つあるのですが、うち1つは、ニボルマブの効果が従来の薬と変わらないことを示すものでした。

 この状況は、胃がんでも同じです。「免疫療法の登場でがんが撲滅される日も近い」などの報道もなされていますが、ありえない話です。ノーベル賞受賞者と製薬企業との間に金銭をめぐるトラブルがあるとのニュースもあり、世間の評価と現実との大きなギャップには戸惑いを感じてしまいます。
(文=岡田正彦/新潟大学名誉教授)

参考文献
【注1】 Kolata G, A cancer conundrum: too many drug trials, too few patients. The New York Times, Aug 12, 2017.
【注2】 Borghaei H, et al., Nivolumab versus Docetaxel in advanced nonsquamous non-small-cell lung cancer. New Engl J Med 373: 1627-1639, 2015.
【注3】 Bonfill X, et al., Second-line chemotherapy for non-small cell lung cancer. Cochrane Database Syst Rev CD002804, 2002.

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