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天皇代替わり、即位の礼などへの税金支出は憲法違反か…宗教活動に該当として提訴へ

文=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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裁判所は判断できない

 原告が訴訟手続きに提出するであろう「法的主張」に対しては、

即位の礼大嘗祭は、誰がどう考えても「儀式」である
・「儀式」は、憲法第7条第10号によって、天皇の「国事行為」として明記されている
・したがって、宗教なのか宗教ではないのか判断するまでもなく、即位の礼や大嘗祭に予算を使うことは認められる

という裁判所の判断がなされるのが目に見えています。おそらく原告は「即位の礼や大嘗祭は宗教活動であって儀式ではない」などと主張するでしょう。しかし、実は裁判所は「ある行動が、ある宗教の宗教上の活動かどうか」については、なかなか判断できません。なぜなら、世界に「宗教」と名のつくモノはたくさんありますが、「ある行動がある宗教上の活動かどうか」を判断するためには、その「宗教の教義や教えに合致した行動かどうか」を検討しなければなりません。

 裁判所は、事実に法律を当てはめて結論を出す機関ですが、およそ「宗教の教義や教え」に法律を当てはめることなどできませんし、「ある行動がある宗教上の活動かどうか」、すなわち「宗教上、正しい行動かどうか」「その宗教の教義や教えが正しいかどうか」を考えなければならないわけで、裁判所はそのような判断をできません。

 たとえば、「キリスト教の洗礼という活動は正しいから、子供が洗礼する際に目に水が入ってしまい失明してしまっても、これは洗礼という活動だから違法ではない」「ホニャホニャ教の眠る時は犬を抱っこして眠らなければならないという教義は、ホニャホニャ教の正しい教義であり宗教活動として認められる。こういう宗教活動のために刑務所に犬を持ち込むことを許可した法務省の判断は正しい」などといった判決を出すことはできません。

 このように考えれば、原告が提起しようとしている訴訟が、少なくとも現行の司法制度においては、いかにおかしなものであるか理解できることでしょう。
(文=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士

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●山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。弁護士法人ALG&Associates執行役員として法律事務所を経営し、また同法人によせられる離婚相談相続問題刑事問題を取り扱う民事・刑事事業部長として後輩の指導・育成も行っている。芸能などのニュースに関して、TVやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。弁護士としては、企業法務交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験を様々な方面で活かしている。

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