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安倍政権のイージス・アショア導入、ミサイル防衛上は無意味…米国の要望で7千億円を浪費

構成=編集部
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 だが3隻中の2隻を海上に出し続けると乗組員は何カ月も家に帰れず、疲労が激しい。だから2013年に決めた「防衛計画の大綱」(10年間を見通す)と「中期防衛力整備計画」(5年計画)ではイージス艦を8隻にし、すべてがミサイル防衛用のSM3を搭載することに決めたのです。「あたご」はそのための改装を終了し、同型の「あしがら」を改装中、7隻目のイージス艦「まや」は今年7月30日に進水、次の1隻も2021年3月に就役予定で8隻態勢が完成します。そうなれば可動6隻のうち4隻を2交代でミサイル防衛の配置につけ、2隻は本来の任務である艦隊防空に回せるとの考えでした。

 陸上イージスは自衛隊が望んだものではなく、「大綱」「中期防」の計画にも入っていなかった。米トランプ政権が購入を迫り、日本政府は昨年12月に「政治判断」で導入を決めました。まるで5階建てのビルの設計図を描き工事を進めていたところ、突然「8階建てにしろ」と言われたようなもので、防衛省は必要性の説明に苦労する。だから地元への説明や防衛白書の「解説」ではイージス艦が近く8隻になることには触れず、「4隻態勢の現状では足りないから陸上イージスが必要」という。これは国民が防衛問題をよく知らないことに乗じた、まやかしです。

 また「北朝鮮はわが国を射程に収める弾道ミサイル数百基を保有する」として脅威を訴え、陸上イージスの配備で防護能力が「抜本的に向上する」という。だが、陸上イージス1基のミサイルの定数は24発で、数百基の弾道ミサイルに対し防護能力が「抜本的に向上する」わけがない。ひどい誇大広告です。

目的は米国の防衛

――陸上イージスを導入しなくても、日本は一応のミサイル防衛能力を持っているのでしょうか。

田岡 そうではない。迎撃用ミサイルの弾数が少な過ぎます。「こんごう」級イージス艦の垂直発射機には各種ミサイル90発が入るが、弾道ミサイルを迎撃する「SM3」ミサイルを各艦8発しか積んでいません。1発16億円もしたからです。相手が核弾頭付きミサイルと、火薬弾頭付きミサイルを混ぜて発射してくれば、1隻1600億円(改装費を含む)のイージス艦も最初の8目標に対処しただけで「任務終了、帰投します」とならざるをえません。

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