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日大・内田前監督、警視庁は「指示なかった」と判断…部員が第三者委で虚偽証言との報道も

文=編集部
日大・内田前監督、警視庁は「指示なかった」と判断…部員が第三者委で虚偽証言との報道もの画像1内田正人前監督(写真:日刊現代/アフロ)

 5月に行われた関西学院大学と日本大学によるアメリカンフットボールの定期戦で、日大の選手が悪質タックルで退場になった件が、新たな局面に入った。

「悪質タックル」は「2018ユーキャン新語・流行語大賞」の候補に挙げられているように、今年の大きな話題のひとつだ。このタックルをきっかけに、日大アメフト部の“パワハラ体質”が暴かれ、さらに日大の経営陣にも大きな影響を与えた。

 特に、件のタックルが行われた際のアメフト部監督であった内田正人氏は、監督辞任に追い込まれただけでなく、7月に日大の常務理事を懲戒解雇されるに至った。

 内田氏と井上奨前コーチは、関学大の選手を怪我させるように指示したと第三者委員会から認定され、その後、警視庁へ傷害罪で刑事告訴を受けた。だが、警視庁は内田氏と井上氏について、相手を負傷させる危険なタックルを指示した事実は認められないと判断し、立件を見送る方針を固めたと報じられた。

 さらに、内田氏は「解雇は不当」と主張して、地位確認などを求めて大学を訴え、15日に第1回口頭弁論が開かれた。裁判で日大側は訴えの棄却を求め、争う姿勢を示している。

 第三者委員会が危険なタックルについて「指示があった」と判断したにもかかわらず、警視庁がそれを否定したのは、なぜなのだろうか。また、裁判は今後どのような展開を見せると考えられるのか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏に解説してもらった。

「“事実”はひとつしかありません。では、なぜ日大が設置した第三者委員会の結論と、警視庁の結論が違ってしまったかというと、おそらく以下のとおりと考えられます。

 まず、内田前監督自身は、解雇が無効であると訴訟を提起しているくらいですから、『私が指示しました』などとは自白していないでしょう。そうすると、第三者委員会は、

(1)内田前監督が指示をしていたのを見た・聞いた者の証言を得た
(2)指示をしていたところを誰も見ていない・聞いてもいないが、当時の状況からすれば指示があったのだろうと推認することができた

 このいずれかをもって、“指示があった”と判断したのでしょう。

 これに対し警視庁は、まず(1)があったとしても、この証言は信用性がないと判断したことになります。また(2)についても、当時の状況からしても指示があったのだろうと推認することはできなかったということです。

 要するに、自白がないなかで、証言や周囲の事情などを総合的に判断し、それぞれ『指示があった』『指示がなかった』と結論付けたわけです。

 ところで、今後、民事訴訟において『指示があったか、なかったか』が判断されるわけですが、(1)AとBという証言、(2)CとDという事実、(3)EとFという事情、これらから「Xという事実」を推認する能力(または「Xという事実」を否定する能力)は、日本においては、そもそも司法試験の成績が良く、頭が良く、事実を推認・認定する能力について日々研鑽を積んでいる裁判官が、もっとも得意です。

 この裁判官の能力には、第三者委員会や警視庁が束になってかかっても絶対に勝てません。ということで“事実”が明らかになるのは、民事訴訟での決着がつくまで“お預け”です」

 第3者委員会に対して証言をした日大アメフト部の部員が、警視庁の調べに対して「実際に聞いていない内容の証言をした。タックルした選手を守るためだった」との趣旨の証言をしているとの報道もある。

 タックルの被害者である関学大の選手の父で大阪市議会議員の奥野康俊氏は、自身の公式フェイスブック上で、警視庁の判断に関する報道を受けて、こう嘆いた。

「証拠がないのなら、2人は正直に自白すべきだ。少なくとも公権力のない被害者とその家族にだけは。チームの選手全員に罪を押し付ける日大の体質と指導者にメディアは詰め寄って頂きたい。学生を犯罪者扱いするとは言語道断だ。SNSとメディアのお力を貸してください。悲しくて仕方ありません」

 裁判によって“真相”は明らかにされるのだろうか。
(文=編集部)

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