米国による中国への経済制裁、中国が半導体「国産化」で日本企業の関連産業“消滅”危機

中国が製造装置の巨大市場になるはずだった

 図1に、地域別の半導体製造装置の市場推移を示す。


 2010年台はファウンドリー(受託製造企業)の世界シェア50%を超えるTSMCがある台湾が、世界一の市場規模を誇っていた。ところが、16年から17年にかけて、韓国市場が急拡大した。これは、16年に本格的なビッグデータ時代を迎え、アマゾン、マイクロソフト、グーグルなどのクラウドメーカーが途轍もない勢いでデータセンターを建設し始めたことに起因する。

 データセンターには大量のサーバーが必要で、そのサーバーには、これまた大量のDRAMやNANDなど半導体メモリが必要になった。その結果、サムスン電子やSK hynixが、メモリへ巨額の設備投資を開始した。それが、韓国の製造装置市場の飛躍的な拡大につながっている。

 一方、中国は16年に日米を抜いて3位になり、18年には台湾を抜いて韓国に次ぐ2位に躍進し、19年以降に1位の韓国に並び、20年には韓国を抜いて1位になると予想されていた。

中国の半導体強化策

 このように、中国の半導体製造装置が劇的に拡大する背景には、習近平国家主席肝いりの産業政策「中国製造2025」による半導体強化策がある。そして、14年に立ち上げた中国IC基金は18兆円に増額され、この資金を投じて中国国内に半導体の巨大工場が立ち上がりつつある。

 紫光集団傘下の長江ストレージは、武漢に月産10万枚の3次元NAND型フラッシュメモリ工場を17年末に立ち上げ、すでに装置の搬入が始まっている。長江ストレージは20年に月産30万枚、30年に月産100万枚に増産すると発表している。

 UMCと技術提携しているJHICCは、17年10月に月産10万枚のDRAM工場を立ち上げ、18年、装置搬入を開始した。19年以降に現在最先端の1Xnm DRAMを量産する計画である。

 元エルピーダメモリ社長の坂本幸雄氏が立ち上げたサイノキングとの提携に失敗したHefeiはRuiLi、イノトロンと相次いで社名を変更した。その上で、SMICの経営トップを務めたデビット・ワン氏を招聘し、マイクロン傘下の台湾イノテラから大量に技術者を引き抜いて、1Xnm DRAM工場を立ち上げつつある。17年9月に月産12.5万枚の工場が完成し、19年の大量生産開始を目指している。

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