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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

無償と有償、東京五輪ボランティア「1000円支給」を批判するのはナンセンスだ

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
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 有償が効果的なのは“モノ”だけでなく、“労働力”でも同じだ。

「善意を長く続けるためには有償であることも意義があると思います。依頼する人は、少しでも賃金を渡すことで相手の善意だけに頼っている感覚が和らぎますし、働く人も責任感が生まれてきます。こうした背景から、近年は有償ボランティアも増えています。また、就業経験をさせる代わりに無償で働くことが基本だったインターンシップも、同じ理由から有償とする企業も増えているそうです。結果としてそちらのほうが双方ともメリットが大きいということですね」(同)

東京五輪ボランティア、低報酬の是非

 関連の話で最近何かと話題に上がるのが、東京五輪ボランティア問題だ。東京五輪大会組織委員会はボランティアの交通費として1日当たり1000円のプリペイドカードを支給すると決定し、物議を醸した。有馬氏はこれをどう見るのか。

「批判をする人もいますが、これは強制的な“労働”ではありません。応募する人は、東京五輪ボランティアの意義を感じ、“自主的”に手を挙げる人たちです。その有志の好意に報いるために、主催側が少額であっても感謝の気持ちを表明していると解釈することができると思います。主催側と参加者双方の“納得”のうえで運営がなされるのであれば、当事者以外の人が文句を言うのはナンセンスなのではないでしょうか」(同)

 無償と有償。その2つの言葉が持つ本質の差とはなんなのか。こういった時代だからこそ、改めていろいろと考えさせられてしまう。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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