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「合理的な判断」はグループで行われる理由

取材・文=大野和基/ジャーナリスト
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――最近、世界で見られるポピュリスト・ムーヴメントも、個人の無知につけこんだものでしょうか。実際に世界は安全になってきているのに、まるで悪化しているような感じを与えていますね。

スローマン もし一般人がすべてのデータや事実を把握していれば、だまされません。世界はどの点をみても、過去よりも安全になっています。しかし、個人の無知を非難することはできません。世界には、あまりにも知るべきことがあります。それが核にあります。我々個人がテロリズムの専門家になったり、病気、犯罪、飛行機事故の専門家になることはできません。それぞれの分野を完全に理解するには、多くの専門知識が必要です。

 ですから、我々はこういう専門分野を研究してきた人や、あるいはその分野について意見を持っている人から手がかりをつかまなければなりません。しかし、残念なことに多くの人は何も知らない人から手がかりをつかんでいます。実際に世界で起きていることについて状況を単純化して、人の心をとらえるような話をする人から手がかりをつかんでいるのです。

――そういう話をする人は、知っているふりをしているのではなく、自分が何も知らないことをわかっていないということですか?

スローマン 間違いなく後者ですね。人がどれだけ無知であるかを示す多くのエビデンスがあります。ある意味ではそれでいいのですが、ドナルド・ラムズフェルド元米国務長官がunknown unknowns(未知の未知)と表現したように、「そのことを知らないことを知らない」のです。知らないことを知っている場合はknown unknownsになります。自分が知らないことを理解することはできませんので、誰もがこの状態を必然的に経験します。

 一方で、知らないのに知っているふりをする人がいます。これが今の世界で恐ろしいことです。だからポピュリストのリーダーたちは、自分たちが実際には持っていない答えを持っているふりをする習慣があります。

――先ほど、個人では無知であってもグループではかなり合理的な分析ができるという話が出ましたが、それは知識のコミュニティのことですね。

スローマン そうです。その考えは、思考のプロセスは脳内だけで起きるのではなく、いろいろな人と協力して起きるということです。思考は社会的なプロセスです。我々は思考プロセスを集団的な存在と考えなければなりません。

 今あなたと私はこのような会話をしており、そこから何か結論を一緒に引き出そうとしています。お互いの知識やお互いの思考プロセスに依存しています。我々が結論を出すときに、我々だけで出すのではなく、知識のコミュニティに依存しているということです。

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