日産ゴーン容疑者、懲役4年程度の実刑が濃厚…脱税なら高利率のペナルティ課税も

ゴーン容疑者、懲役4年程度の実刑が濃厚か

 さて、これ以外に、ゴーン容疑者には会社法が規定する「特別背任罪(会社法第960条)」という問題も挙がっているようです。これは、本来企業のために全力を尽くさなければならない役員などが、自分の利益などを図ることで企業に損害を与えたような場合の犯罪です。

「背任」という言葉が示すように「任務に背く」という意味があるのですが、要するに、「人に何かを頼む(会社の経営を依頼する)ということ」は信頼を前提として成り立っているのに、その信頼を裏切ったことに対する制裁ということです。これも、10年以下の懲役や1000万円以下の罰金が科される場合もあるでしょう。

 ただし、この犯罪は「故意犯」なので、今回の件でゴーン容疑者に「日産に損害を与える意思」があったとまではいえない(役員報酬の点だけ見れば)し、まず立証は無理でしょうから、特別背任で逮捕・起訴される可能性は低いと思います。同じような法定刑の金融商品取引法違反が取り沙汰されているので、そちらで攻めることになるでしょう。

 次に「脱税」にあたるかどうかについてですが、「有価証券報告書の記載上、役員の報酬を過少申告していた」だけではなく、確定申告の際に嘘をついていれば「脱税」に該当するでしょう。こちらも、懲役刑などの厳罰、また「過少申告加算税」や「重加算税」という、とんでもなく利率の高いペナルティ課税がなされることになります(脱税は割に合わない、という“見せしめ”のためです)。

 額が巨大だけに、金融商品取引法違反と(正確な法律用語ではありませんが)脱税の罪などで、最終的には「実刑(4年程度)」が科される可能性が高いでしょう。

 11月20日、東京・銀座の「丸源ビル」オーナーの川本源司郎被告人に対し、東京地裁は35億4300万円の所得隠し(無申告または過少申告のどちらか)を理由に、懲役4年の実刑と罰金2億4000万円を科しています。この判例に鑑みても、ゴーン容疑者は実刑を免れないものと思われます。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士

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