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ポスト五輪の東京~2020年以降も勝つまち、負けるまち~TOKYO 2020

「東京五輪の経済効果32兆円」のお粗末な実態…大半が空論同然、五輪後の不況が濃厚

文=池田利道/東京23区研究所所長
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成長神話が崩れ去る「終わりの始まり」

 問題は、それが一時的な現象なのか、構造的な変化なのかにある。一時的なものなら、しばらく我慢していればいい。だが、どうもそうではなさそうだ。

 図表3に、プレ五輪5年間とポスト五輪5年間の経済成長率の平均値を整理してみた。1964年の東京大会は、翌年の経済低迷に対して戦後初の赤字国債を発行するという政治的決断を行うことよって、いざなぎ景気へのV字回復を果たすことができた。しかし、そこには、新たな刺激を与えると再び経済が好転に向かうという、時代の背景が存在していたことを忘れてはならない。

「東京五輪の経済効果32兆円」のお粗末な実態…大半が空論同然、五輪後の不況が濃厚の画像4

 ソウル以降の各大会では、アトランタとロンドンを除き、ポスト五輪の経済成長率がプレ五輪を下回っている。五輪の開催には膨大な費用を要する。このため、経済発展のバックボーンがないと五輪招致に手を挙げることができない。しかし、あまりにも大きすぎる負担は、かつて機能していた成長のバランスを崩してしまいかねない。こうして、五輪後の経済低迷は成長神話が崩れ去る「終わりの始まり」へとつながっていくことになる。

 アトランタとともにポスト五輪のほうが高い成長率を示すロンドン大会は、リーマン・ショックに端を発する世界金融危機と、その傷が十分癒えぬままに噴き出した欧州債務危機という最悪の状況下で開催された。従って、その影響を割り引いて考える必要があるが、それでも図表3に参考として記した英独仏の比較において、プレ五輪では成長率がもっとも低かったイギリスが、ポスト五輪ではもっとも高くなっている。社会の大きな舵の切り直しに五輪をしたたかに利用した成果が、ここに表われているといっていいだろう。

 このまま進めば、ポスト2020は明より暗のほうが優勢のようだ。では、どうすればいいのか。迂遠なようでも、「なぜ五輪を開催するのか」の原点に立ち返り、改めて国民的コンセンサスを得るための議論を高めるしかない。すべてはそこから始まり、すべてがそこからねじれ出したのだから。
(文=池田利道/東京23区研究所所長)

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