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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

中国、日本の新幹線技術を活用した高速鉄道をアジアへ輸出…日本が支援の動き

文=浜田和幸/国際政治経済学者
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「一帯一路」のため日本を利用

 というのも、このところ中国の「現代版シルクロード」計画への警戒や反発が各地で顕在化しているからだ。具体的には、スリランカ、マレーシア、パキスタン、モルディブ、そしてシエラレオネといった途上国では「中国の融資や援助は危ない。最終的に中国に土地を奪われる」との恐れが広がり、こうした国々での大統領選挙では「反中国」を訴える候補が相次いで勝利している。こうした事態に直面し、中国自身も対応を再検討し始めているようだ。要するに、中国だけでは信用されないので、「途上国援助で実績のある日本と手を結ぶことで、中国への不信感を和らげよう」という発想なのである。

 本年5月の李克強首相の来日を契機に、日中両国が第三国市場で協力する可能性を探ることが決定した。その第1回会合が去る9月に北京で開催された。これは「歴史上、もっとも野心的な経済発展計画」と呼ばれる「一帯一路」構想を推進する上で、特に途上国の間で首をもたげつつある「中国脅威論」を払拭するために、日本の信用力を活用しようとする試みでもある。

「中国版マーシャルプラン」とも受け止められるのだが、5年前に習近平国家主席が打ち出した「現代版シルクロード経済圏構想」を進化させようとするもの。これまでは豊富な資金力をバックに中国が大胆なインフラ輸出に取り組んできたが、各地で受け入れ国との軋轢が目立つようになってきた。まさに日本の出番といえるだろう。

 受け入れ国の反発を目の当たりにし、新機軸を打ち出す必要に迫られた中国は「エコロジー(生態)文明」を標榜し、その趣旨を憲法にも明記することになった。この分野では省エネ、再エネなど環境技術を軸に日中の協力の可能性が高い。日本から学んだ新幹線技術を応用し、中国全土に高速鉄道網を整備した中国では、その流れをさらに進化させ、風力自家発電で時速500キロの高速移動を可能にしつつある。翼を付けた高速鉄道であり、日本の協力の下、実験が加速している。日本ではまだ検討段階であるが、いち早く中国では実証実験が始まった。また、タイやインドネシアで中国が受注した高速鉄道事業が順調な軌道に乗っていないため、本家本元の日本に協力を仰ぐ動きも出てきた。

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