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【森友偽装写真Ⅲ】

【森友問題】国交省も証拠写真を偽装か…格安払い下げの根拠崩れる、注目される新展開

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 この答弁も、噴飯ものでしかない。ここで問題になっているのは、掘削穴が3m以深の深さがあったことである。もしその上の部分があるというのなら、なぜそれが写り、穴の深さが誰から見ても4mであるとわかる写真を提出しなかったのか。国交省担当者が言っていることは、事実に基づかない希望的観測でしかない。

以深を掘削したことを示す写真がない

 小川議員は、さらに衝撃的な指摘を行った。

 以上のように「21枚写真資料」の写真No.1~写真No.3は、国交省の職員が記載した説明書きには4mの深さまで掘削したと書かれていたが、肝心の写真からは「3m以深」を確認できなかった。それだけではなく、他に7カ所の掘削穴の写真があるが、いずれも掘削した深さは3mまでしかないと説明書きに書かれていた。そのうち4カ所は「GL-3000」、つまり深さは3mで、3カ所は「GL-1600」、つまり1.6mの深さだということである。

 このように、国が8億円の値引きの根拠となった写真資料として、半年もかけて提出した「21枚写真資料」には、1枚も3m以深を掘削したことを示す写真がなかったのだ。もし小川議員をはじめとする野党が粘り強くこの疑問を指摘し、筆者ら専門家と情報提供を通じてお互いに協力・分析することがなければ、この事実は闇に葬り去られるところであった。

写真5 写真No.7と写真No.11

 写真5も「21枚写真資料」の一部であるが、写真No.7は掘削穴(「A工区NO3」)、写真No.11は掘削穴(「B工区NO4」)とされ、この掘削穴は国交省の説明では約60m以上離れた場所で掘削した穴とされていた。ところが、写真No.7の中央下側の部分を拡大したものが、No.11の写真であることがわかる。この「21枚写真資料」でも、同一場所を撮影した写真を、別の掘削穴だと偽っていたのである。

 この写真5からは、同一写真を異なった写真と偽る偽装だけでなく、掘削穴(「A工区NO3」)と掘削穴(「B工区NO4」)は同じということであり、8カ所掘削したという報告は虚偽で、少なくともこの事実によって7カ所しかなかったことがわかった。つまり国交省は、今回の写真資料を提出するにあたって、説明していた試掘の場所数すら偽る資料を提出していたことがわかった。

 官僚の腐敗はどこまで進んでいるのか。元検察官の小川議員に,この点について聞くと、担当職員は背任罪は免れないが、巨悪の犯罪をどのように立件するかが問題だという。また、この写真資料の問題ひとつを見ても、財務省と国交省の連携による犯罪は明白だという。

 以上より、財務省が最初から存在しない埋設ごみを理由に格安に値引こうとしたことは明らかである。もしこの格安払い下げが、財務省近畿財務局が主導して画策したものであれば、この土地を所有していた国交省大阪航空局としては、その分売却収入が減り損を被ることになるが、なぜ国交省がチェックしなかったのかが疑問となる。逆に国交省が主導してなんらかの理由でそのような格安払い下げを行おうとしても、財務省は国有財産払い下げのルールがあり、勝手なことは許されない。

 つまり、2つの省庁の利害を超えた政治が働き、このような不法な格安払い下げが行われたことが事実であり、その点の解明ももちろん課題となるというのが、小川議員の見解である。結局、国が新たな埋設ごみの存在を立証すると提出した資料が、偽装と虚偽記載満載の写真資料であったことが、小川議員の粘り強い追及と、それに協力する専門家や市民団体による画像分析の結果わかったといえる。

 なお小川議員による11月5日の記者会見は、11月6日に共同通信が報じ(『森友ごみ、同一点2カ所と記載か 立憲参議院議員が指摘』)、この配信を受けて、中国新聞、岐阜新聞、岩手日報、山形新聞、秋田さきがけ新聞、長崎新聞、南日本新聞、琉球新報、信濃毎日、京都新聞、神戸新聞、愛媛新聞、静岡新聞、北海道新聞、西日本新聞、東京新聞など20社以上の地方新聞社が報道している。

 そして、11月6日の国会でも、この問題が取り上げられ、「森友学園への国有地売却問題を巡り、国土交通省の担当者は6日の野党合同会合で、国が(略)ごみがある根拠とした現場写真には同一地点を別角度から写し、別の地点とした疑いがあるとの指摘を受け、事実関係を確認する意向を示した」(11月6日付共同通信記事より)と報じられた。

 一枚の写真の偽装と、その裏に隠された政治の思惑。いよいよこの写真偽装問題は、国会での論議の俎上に本格的に上り、会計検査院の再報告や検察審査会での審査結果に影響を及ぼすことが考えられる。米国におけるウオーターゲート事件も、当時の共和党、ニクソン大統領は、民主党への盗聴行為で逮捕された実行者とは無関係だと距離を置いていたが、一つひとつの事実や写真の分析、ワシントンポスト紙などの粘り強い調査報道によって、関与が否定できなくなり、2年2カ月後に辞任に追い込まれた。ニクソン大統領は、当時再選を果たし圧倒的な人気のなかで、不法行為を問われて辞任した。

 振り返って、今回の森友事件が、首相に忖度した一部の官僚たちが勝手にやったことなどとすますことはできない。省庁を超えて組織的に取り組まれた疑獄事件であることは、小川議員も指摘している。一人の職員を死に追いやった疑獄事件の解決に向けて、扉が1枚の写真によって開かれつつあると考えたい。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト) 

【筆者による小川議員への追跡取材の内容はこちら】
『追跡―森友 小川参議員議員へのインタビュー(11月8日) カラーの拡大写真と国会での隠ぺい過程を詳しく聞く。森友8億円値引きの根拠写真の偽装を暴いた~小川敏夫参議院議員に聞く』
 
※1:「平成21年度大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務 報告書(0A301)」「平成22年1月国土交通省大阪航空局 大和探索技術株式会社」
※2:「平成23年度大阪国際空港場外用地(0A301) 土壌汚染深度方向調査業務報告書(12年2月)
※3:『森友 ごみは無いのになぜ8億円の値引き』(イマジン出版)
※4:100分の1の埋設ごみも、種類は「新築系混合廃棄物」と書かれてあった。つまり、校舎建設に伴って、排出された建設材料の包装材料や、建築にあたって出た端材である。これらは、地中から掘り出されたごみでない。そのため土地の払い下げにあたっての値引きの根拠とはならない。

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