渡辺陽一郎「いちばん詳しい『人気の新車』完全ガイドシリーズ」

スズキ「スペーシア」はホンダ「N-BOX」より“ここが優れている”!小回りが利いて軽快!

今後のモデルチェンジ予想

 前述のように、現行スペーシアは基本設計が新しいです。発売からちょうど1年が経過する頃なので、大幅な改良を行う予定はありません。それでも特別仕様車を設定する可能性はあります。特別仕様車には、人気の高いメーカーオプションの全方位モニター、ヘッドアップディスプレイなどを割安な価格で標準装着することが考えられます。

最近の販売状況と安く買うための商談方法

 軽自動車は国内向けに開発された薄利多売の商品ですから、大量に売る必要があります。そして、スペーシアは、ホンダのN-BOX、ダイハツ工業のタントと激しい販売合戦を展開しています。そこで、N-BOXやタントを相手に値引き額や下取り車の売却額を競わせると良いでしょう。

 特にタントは発売から5年が経過して、売れ行きも下がってきました。値引きなどを拡大させているので、競争させるとスペーシアの条件を好転させる効果も期待できます。

リセールバリュー/数年後に売却するときの価値

 軽自動車は中古車市場でも人気の高いカテゴリなので、全般的に高値で売却できます。しかも、現行スペーシアは2017年12月の発売ですから中古車市場の流通台数はあまり多くないです。従って、購入から3年後の時点で新車時の50%程度で売却できるでしょう。特に、エアロパーツを備えた上級シリーズのカスタムは好条件になります。

これが結論!/このクルマの総合評価&コメント

★★★★☆

 今の軽自動車市場では、N-BOXの売れ行きが圧倒的に良いです。N-BOXは車内が広い上にシートの座り心地や内装のつくりが上質で、車間距離を自動制御できる運転支援機能のクルーズコントロールも採用しています。軽自動車でありながら、質感や装備を小型車と同等かそれ以上に充実させて、高い人気を得ました。

 スペーシアは、乗り心地、内装の質感、運転支援の機能では、N-BOXに勝てません。その代わり、車両重量が約20kg軽く運転感覚が少し軽快です。小回り性能も勝り、フタの付いた収納設備も豊富です。N-BOXに比べると、総じて使い勝手が良く馴染みやすいです。

 両方とも良く似たクルマですが、N-BOXは小型車的な快適性を重視しており、スペーシアは軽自動車らしい運転のしやすさや日常的な利便性を一層重視しています。

 価格が少し高くても先進的で中身の充実した軽自動車が欲しいなら、スペーシアとN-BOXを乗り比べて結論を出すのが良いと思います。
(文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト)

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

1961年生まれ。神奈川大学卒業。1985年に自動車雑誌を中心に扱うアポロ出版株式会社に入社。その後、同社で複数の自動車雑誌やアウトドア雑誌を手掛け、1989年に自動車購入ガイド誌「月刊くるま選び」の編集長に。1997年にはアポロ出版株式会社の取締役も兼任。2001年6月に40歳を迎え、同月に「カーライフジャーナリスト」の肩書でフリーランスに転向。

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