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市販カーナビ、需要蒸発で“叩き売り”状態…スマホ地図の普及が追い打ち

文=編集部
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カーナビの収益悪化で売却を決める

 クラリオンは日本初のカーステレオを開発し、老舗カーエレクトロニクス(カーエレ)メーカーの一角を占めてきた。クラリオン、パイオニア、アルパイン、JVケンウッドの4社は「カーエレ4兄弟」と呼ばれる。

 日立は06年10月、クラリオンの株式をTOBにより追加取得。1株230円で231億円を投じ、出資比率を1割強から6割超まで高めて子会社に組み入れた。クラリオンがカーナビゲーション(カーナビ)の地デジ対応に遅れ業績が振るわず、成長の曲がり角にさしかかっていたことが背景にあった。

 採算の悪い市販品が少ない点が強みだったが、カーナビは全地球測位システム(GPS)や加速度センサーを備え、地図機能も充実するスマートフォン(スマホ)に需要を奪われた。

 クラリオンの経営難が表面化したのは18年3月期の連結決算(国際会計基準)だった。売上高に当たる売上収益は17年同期に比べて6.0%減の1830億円。営業利益は35%減の73億円、最終利益は73%減の20億円に激減した。カーナビ、カーオーディオの販売が苦戦したのが原因だ。

 18年4~9月期決算は業績悪化に拍車がかかった。売上収益は前年同期比13%減の787億円、営業利益は56%減の16億円、最終利益は85%減の3億円に落ち込んだ。そこで日立は、カーエレの先行きが見えないクラリオンを切り離すことにした。

カーナビ業界は再編ラッシュ

 カーナビ業界は、スマホの普及による販売の伸び悩みに加え価格競争が激化し、自動運転技術の開発費の増加など三重苦の状態だ。

 17年10月、トヨタ自動車系のデンソーが、富士通が55%出資する富士通テン(現デンソーテン)を168億円で取得して子会社にした。アルプス電気が経営統合を打ち出した子会社のアルパインは、今年12月5日に開催する臨時株主総会で統合を正式決定する。パイオニアは香港の投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア傘下のファンドに500~600億円規模の第三者割当増資を計画。11月以降に正式決定する。

 そして今回、日立はクラリオンを仏ファルシアに売却する。この数カ月の間にカーナビ会社の再編が相次いだことになる。

 電子情報技術産業協会の統計によると、17年(暦年)のカーナビの国内出荷台数は5%増の582万台。2年連続で増えた。18年1~9月までの累計でも、前年より4%増えて459万台だ。カーナビの販売が落ちているわけではない。

 カーナビは売れているのに、カーナビメーカーはなぜ叩き売られるのか。市場構造の変化が起こった。かつてカーナビはカー用品店で購入するのが普通だったが、自動車メーカーが組み立てラインのなかで装着したり、ディーラーが取り付けて販売するケースが増えてきた。

 そのため、カー用品店などで売る市販用は、この5年間で2割ほど減った。市場が縮小したため安売り競争が激化し、市販用カーナビの平均価格は半分になった。カーナビメーカーは、自動車メーカー向けより利益率が高いカー用品店向けの市販で稼いできたが、ここでも利益が出なくなった。

 これがカーナビメーカーの叩き売りが始まった原因である。今後は、海外のカーナビメーカーを巻き込んだ再編によって勢力地図が激変しそうだ。
(文=編集部)

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