そこで一念発起して独立。86年、AFCをロサンゼルスに設立。AFCはADVANCED(斬新性)、FRESH(新鮮)、CONCEPT(構想力)の意味。スーパーマーケットの惣菜コーナーで寿司の実演販売を始めた。スーパーでの実演と販売を兼ねたデモンストレーション・スタイルで寿司の普及に成功した。

 その後、米国で3700店を展開するテイクアウト寿司のNo.1企業となり、カナダ、オーストラリアを合わせると4000店舗を超える。

 米国のスミソニアン博物館で開催された「アメリカン・オン・ザ・ムーブ」という産業界の優れた企業リーダー16人を称える会合で、石井氏は「寿司はアート(芸術品)だ」というコンセプトで登壇し、見栄えのするさまざまな寿司を紹介したという。

妙高市の名門リゾートホテル「赤倉観光ホテル」を買収

 石井氏は、新潟県妙高市にある「赤倉観光ホテル」のオーナーでもある。

 赤倉観光ホテルは1937年、大倉財閥が建てた本格的な高原リゾートホテル。当時、日本政府は外貨獲得策として国際リゾートホテルの建設を推進した。そのひとつが赤倉観光ホテルで、創業以来、皇室や国内外のVIPに利用された伝統と格式あるリゾートホテルである。

 戦後、旧大倉財閥の資産管理会社を引き継いだ大倉商事がバブル期にゴルフ場、スキー場にのめり込み、巨額の負債を抱えて倒産した。債務整理の一環として「川奈ホテル」や「赤倉観光ホテル」など名門ホテルの民事再生法を申請し、売り渡すことになった。

 石井氏は2004年、総支配人の要請で赤倉観光ホテルを買収し、経営を引き継いだ。経営再建の一案として、温泉を掘削して日帰り温浴施設をつくるアイデアが浮上。09年12月、露店風呂付温泉大浴場、スパサロン、露店風呂付客室を備える新館をオープンしたところ、これが大当たりした。

 この勢いを駆って、伊豆吉奈温泉で400年続く老舗旅館を買収。箱根や熱海で赤倉観光ホテルのベーカリーショップを出した。AFCをゼンショーHDに売却した資金で、故郷の静岡県でリゾートホテル事業に本腰を入れるとみられている。
(文=編集部)

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