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下請けの染色会社・小松マテーレは、いかにしてアパレルブランド&高成長企業に脱皮?

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 石川県能美市に本社拠点を置く、小松マテーレ株式会社(9月末までの社名は小松精練株式会社)は興味深い企業だ。同社は、染色や合成繊維関連の技術を基礎にして新しい成長の道を目指している。

 1943年、小松織物精練染工として小松マテーレは創設された。創業時の社名からもわかるように、同社は繊維の染色をメインに事業を運営してきた企業だ。大手企業の下請けビジネスや染色技術の開発を通して、同社は環境の変化に適応してきた。

 その結果、現在の小松マテーレは染色の専門企業というよりも、合成繊維の分野全般で存在感を示している。衣料品向けの繊維事業に加え、耐震、緑化などの分野にも進出している。今後も同社は事業領域を拡大し、収益基盤の多様化と収益の安定を目指していくことが期待される。

 小松マテーレは合成繊維に関する技術の向上と、その応用分野の拡大を目指している企業というべきだ。新しい取り組みを進め、持続的な成長の実現を目指す同社の経営は、市場参加者からも良好な評価を得ていると考えられる。

小松マテーレのビジネスモデルの変革

 
 小松マテーレの経営の特徴は、受託加工企業という立場に甘んじることなく、自主的に収益拡大への取り組みを進めてきたことにある。同社は既存の事業内容に執着するのではなく、ビジネスモデルを変革してきた。同社の経営を考える上で、この点がもっとも重要だろう。同社の経営を見ていると、自社の強みを生かして収益を獲得できるチャンスがあると判断されるのであれば、積極的に取り組もうとするダイナミックなイメージを持つ。自前で市場を創造し、成長を実現したいという情熱が強い企業といってもよい。

 もともと、同社は東レなどからの受託加工を行う下請け企業として事業を展開してきた。また、株式投資関連の専門情報誌などを見ると、小松マテーレの事業概要を記した欄には、染色などに関する加工を行う代表的な企業との記載がある。

 ただ、現在の小松マテーレの事業ポートフォリオを見ると、この説明は同社の本質を適切に表していない。染色の技術が同社の競争力を支えた要因であることは事実だ。それは、今後の成長にも欠かせない。

 それに加え、下請けからの脱却を目指し、同社は自主的に需要を創造することに取り組んできた。同社の事業ポートフォリオの構造と収益の状況を見ると、受託加工からの脱却が進んできたことが確認できる。小松マテーレの主な事業領域は、衣料ファブリックと資材ファブリックだ。2019年3月期の第2四半期決算の売上高(196億円)のうち、衣料ファブリックの売上高は131億円(売上高の67%)、資材ファブリックの売上高は51億円(同26%)だ。

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