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下請けの染色会社・小松マテーレは、いかにしてアパレルブランド&高成長企業に脱皮?

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 各事業の収益動向を見ると、ファッション分野では欧州向けのアウター生地の売れ行きが好調だ。中国向けのファッション事業も好調である。これは、同社が独自の取り組みによって自社製品の販路を開拓し、世界のファッション・衣料品の市場で収益を獲得していることにほかならない。

テキスタイルメーカーとしての地位確立

 
 すでに欧米市場において、小松マテーレは世界的なテキスタイル(織物)メーカーとしての地位を築いていると評価できる。年に2回フランスで開催されている国際的なテキスタイル見本市「プルミエール・ヴィジョン(PV)」に、同社は31回続けて出展してきた。2013年、日本企業として初めて同社はPVでグランプリを受賞するなど、その技術力は世界の大手アパレル・ブランドなどからも評価・支持されている。

 代表的な製品に、オニベジ(Onibegie)がある。これは、タマネギの皮から成分を抽出し、そこに他の成分を配合して合成繊維を染色する技術だ。タマネギの皮は廃棄されることが多い。廃棄物の再利用、天然由来成分を用いたナチュラルな色味といった特徴は、自然環境保護への関心が高まってきた社会にマッチしているといえよう。

 また、従来の染色技術では、光沢を出すことはできても、生地にしなやかさを持たせることは難しいとされてきた。しかし、小松マテーレは光沢としなやかさを両立させた素材である「ルガーノ」の開発に成功した。その上、欧州トップメゾンなどからの要望にこたえ、さらなる光沢感を持たせた「ウルトラ・ルガーノ」を世界市場に投入した。そのほかにも、同社はウール(羊毛)以上の軽さと保温性能を持つ人工ウールの生産にも成功している。

 10月、同社はさらに新しい取り組みを発表した。それが、自社のアパレル・ブランドである「Co-mt.(シーオー・エムティ)」の立ち上げだ。2019年6月には東京・渋谷に「ラボラトーレ」という名前の店舗が出される予定だ。

 この取り組みの狙いは、自社の合成繊維などの技術力を世界にアピールすることにある。それは、小松マテーレ自ら自社のテキスタイル製品や染色技術を発揮した最終製品のアイディアを消費者やアパレルメーカーなどに向けて提案し、需要の創造を目指した取り組みにほかならない。

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